11月27日から29日にかけて、東和薬品RACTABドーム(大阪府)にて行われているGPシリーズ最終戦・2020NHK杯。SPで2位発進となった友野(スポ4)がFSに臨み、FS143.35点の合計226.62で総合2位となった。
「強い気持ちを持ってフリーに挑みたい」。SPではジャンプを全て着氷し83.27点と優勝圏内につけた友野。今日の曲かけ練習や6分間練習でも調子の良さを見せ、FSに臨んだ。

気迫の演技を見せる
有観客で迎える久々の『ムーランルージュ』。スピードを上げて4回転トール―プに向かっていったが、うまく回転を締められず2回転になってしまう。「丁寧にいきすぎてしまった」。しかしそこで気持ちを切らさず、続く4回転サルコー+2回転トール―プの連続ジャンプを確実に決める。前半に固めた最後の4回転サルコーもステップアウトながら着氷し、ミスを最小限に抑えた。

手の先まで集中した演技を見せる
中盤、確実に決めたい3回転アクセルを含む3連続ジャンプでまたしても回転が抜けてしまうミスが出たが、直後の3回転アクセルは落ち着いて着氷。最後のジャンプもリカバリーに挑んだが無効となってしまい、全体的にジャンプで精彩を欠く結果となった。「攻め切れない部分があって、失敗に繋がった」と語った。
しかし終盤のコレオシークエンスではエモーショナルな演技で観客を惹き込む。演技後半では体力の消耗もありスピードが落ちる選手も多い中、迫力あふれる振り付けをエネルギッシュに演じ切り、圧倒的な存在感で見る者の心を掴んだ。
たとえジャンプでミスがあっても、滑りのスピード感や表現面でベテランの意地を見せつけた。

約11か月ぶりの有観客試合
演技を終えFSは3位ながらSPでの貯金もあり総合2位。
1位の鍵山とは約50点差となり、「優真くん(鍵山)見て、自分はまだまだ甘かったというのが分かった」と悔しさをにじませた。
しかし、「彼の練習だったり競技に向き合う姿勢を見習って、僕も彼に早く追いつけるように頑張っていきたい」。年齢や立場関係なく同じ競技者としてリスペクトをするその姿勢が、さらなる成長に繋がるだろう。

表彰式の様子
今季、コロナ禍でありながら府民大会や関西インカレなど、地方大会や学生大会にも精力的に出場。「練習でしてきたことを試合で出す」ために、試合を積み重ねてきた。その努力も徐々に実り始め、今大会はミスもあったが西日本選手権での212.92点を10点以上上回った。確実に1つ1つ、階段を上がっている。
「僕はこういう点数でさまよっている場合ではないし、目指すべきところはもっと上っていう意識を持ってやっている」。見る者の心を震わせる持ち前の表現力に、練習で磨きをかけてきたジャンプが組み合わされば、友野の演技は何倍もの輝きを増すだろう。その渾身の演技が、全日本という勝負の舞台で見れることを切に願う。
その前に、明日はNHK杯のエキシビションだ。浪速のエンターテイナーの名にふさわしいパフォーマンスを期待したい。【文貴・井代奈那子、撮影・アフロ/JSF(代表撮影)】
☆表彰式


☆インタビュー
・試合後
――演技を振り返って
結果は、やはり点数が離れすぎていて言えるものではないですけど、やっぱり優勝を目指して頑張ってきたので順位よりというよりかは内容でフリーでかなりミスがたくさん出てしまって。本当に練習でしてきたことを出せなかったのが一番悔しいです。
――FSは4回転3本という攻めた構成でしたが
練習では最近は、もうだいぶ問題なくできていたのであまり特別難しいという意識はなかったですけど、僕はこういう点数でさまよっている場合ではないし、目指すべきところはもっと上っていう意識を持ってやっているので。今日優真くん(鍵山)見て、改めて自分の甘さっていうのを…まだまだ甘かったというのが今回の試合でわかりました。
――若い世代の選手の台頭について
日本に新しい風というか、これだけすごい選手が出てきてるのは本当にすごいことですし、今後どんどん日本男子のスケート界を盛り上げていってくれると思うので、すごい存在が出てきたなという感じですし、僕も見習うところがたくさんあって、目の前でトップに駆け上がっている姿を目の当たりにしているので僕もそういった姿をしっかり見て、後輩とかそういうの関係なく、彼の練習だったり競技に向き合う姿勢を見習って、僕も彼に早く追いつけるように頑張っていきたいなと思います。
・記者会見
――どのような気持ちで公式練習や6分間練習に臨んだか
すごく良い感触でできていたんですけど、最後の最後で攻めきれない部分があって
最初から最後まで少し丁寧に行き過ぎたので、最後で思い切れなかったのがダブルになる失敗につながったのかなと思いますし、もっと練習してきたことを信じて出来るようにまだまだもっともっと練習が必要だなと思いました。
――ミスをしないようにという思いが強かった?
そうですね。そういう気持ちが強かったので、最初のトーループで丁寧に行きすぎてしまったのと2本目のサルコーは落ち着いていけたんですけど、その後もまだ攻め切れてない気持ちが残っていて、そういったところがミスにつながったのかなと思いますし、もっと思い切って全日本では演技ができるように、自信を持ってできるように練習を重ねていきたいと思います。
――次につながる、ここは良かったという点は
本当にポジティブに、今回ここでこのミスが次につながる絶対良い経験になると思うので、この悔しさを忘れずにしっかり全日本に向けて練習していきたいと思います。
――お客さんの前で滑ってみて
本当に久しぶりにあれだけお客さんが入ってる中で、皆さんの前で演技ができてすごく良かったと思います。
――今シーズン途中から前半に3本の4回転に構成を変更して、今回手応えは
後半4回転よりも前半に固めた方が自分にも合ってると思いますし、練習も前に比べていい練習が詰めてますし…今隣にいる鍵山選手や佐藤選手もそういう構成でやっていてそれを参考にして構成を変えたので、僕自身アクセルが得意なので今日はミスが出てしまったんですけど、後半アクセル2本の方が自分的には気持ち的にも楽な部分があるので、構成は変えて良かったと思います。