10月4日に宝ヶ池ラグビー場(京都府)にて行われた関西大学ラグビーAリーグ第2戦、対関大戦。開幕戦を落とし、まさかの黒星発進となった同志社。第2戦の相手に関大を迎えた。連敗を避けたい同志社はスクラム起点に試合を展開。随所に地力の差を見せつけ、47-22で勝利を収めた。

試合を通じて同志社スクラムの強さが光った
前節、関大は天理大と対戦。敗れはしたものの試合終了間際までリードを奪い強豪・天理大相手に接戦を演じた。金星にあと一歩まで迫るなど、良い仕上がりを見せる関大は積極的に前に出るDFと縦へ縦へと仕掛けるアタックが持ち味。それに対し同志社は「FWでしっかりと溜めてからアタックへとつなげる練習をしてきた」(林)と徹底的に対策。またセブンス日本代表で活躍するWTB松井やケガから復帰したLO森山がスタメンに。今リーグ初勝利に大きな期待が寄せられた。

2トライを奪う活躍を見せたWTB松井
同志社のキックオフで試合はスタート。風下と悪条件のなか前半を戦う同志社は「我慢して堅く攻めていこう」(渡邉)と臨んだ。前半はキックを多用し、エリアを確実に取る関大に苦戦。自陣でのディフェンスを余儀なくされる。再三インゴール手前までボールを運ばれるが同志社の粘り強いディフェンスやスクラムでのターンオーバーが光り、ピンチを切り抜ける。依然と関大ペースで試合が進む中、迎えた前半25分、マイボールラインアウトをスチールされると、一気にたたみかけられる。右サイドインゴール5㍍手前でラインアウトを献上すると、ラインアウトサインプレーで崩されそのまま被トライ(0-5)。同志社は一度も22㍍ラインに侵入できないまま前半終盤へ。「スクラムの安心感はあった」(山神監督)。同志社劣勢の中、打開したのはスクラムだった。相手のキックミスからラインアウトを獲得すると、素早く逆サイドへ。パスを受け取ったWTB松井がラインブレイクし、ゴールライン手前でスクラムを獲得。強力なプッシュで相手に圧力をかける。同志社のスクラムに対応できずペナルティを重ねる関大。度重なるペナルティで関大FWがシンビンに。そしてスクラムからの2次3次攻撃からPR海士がインゴールへ飛び込みトライ(7-5)。トライ後は数的優位の勢いそのままに、攻勢に出る同志社。前半39分には、HO東のビックゲインから、相手ディフェンスラインを崩し最後はSO渡邉がトライ(14-5)。風下に立ち不利ながらもリードで試合を折り返す。

ビッグゲインしたHO東

果敢に縦へ突破するCTB林
後半、FWとBK一体となったアタックで関大を突き放す。後半3分、相手ラインアウトをスチールし左へ右へと大きく展開。テンポの良いパス回しからWTB松井がトライし21-5。後半13分にはNO8倉本のラインブレイクからフェーズを重ね、最後は大きく空いたスペースにSO渡邉がグラウンディング(28-5)。同志社ペースで試合が進むが、インターセプト、クイックスタートから立て続けに2トライを許す(28-17)。連続被トライに関大逆転の雰囲気がたちこめる。しかし、この悪い流れを断ち切ったのはまたしてもスクラム。後半26分、スクラムから右へ順目に繋ぐと、SO渡邉が内に返しCTB石田へ。相手タックルを受けながらもインゴールへ持ち込みトライ(35-17)。その後もCTB林の縦への力強い突破、WTB松井の個人技などで得点を重ね47-22で試合終了。前半の苦しい時間を耐えしのぎ、後半は持ち前のFW、BK一体となった展開ラグビーをみせ今リーグ戦初白星をあげた。

Aチーム初先発ながらも活躍したNO8倉本
この試合で復帰したLO森山、WTB松井の存在感はさることながら、新チームになり初のAチームスタメンを果たしたNO8倉本が躍動。またチームとしても「初心をもう一度取り戻せたゲームだった」(山神監督)とブレイクダウン、スクラムから試合を組み立てる同志社の形も随所に見られた。結果、内容ともに紺グレにとって大事な1勝になったに違いない。次戦の立命館戦は1勝1敗同士の戦いとなる。優勝戦線残留をかけて、負けられない戦いが続く。(杉本大)
☆コメント☆
山神監督
先週は初戦の難しさがあった。一転、今日はプレッシャーを全ての局面でかけることはできたね。ブレイクダウンでは勝負をかけれていたし、何と言ってもスクラムで押せたというのは良かった。ゴール前の粘りもすごくあったし。どんなにやられてもスクラムで取り返せるっていうスクラムの安心感はあったと思う。(松井は久しぶりの出場だったが)代表経験を経て松井は本当に1対1が強くなった。彼の成長が今日見ることができました。チームにもいい影響を与えるのでは。今日の試合のようにやっていれば、そう負けないはず。しっかり準備できていたし、セルフマネージメントの部分でも良くできていた。今日の関大に勝ったことは自信になる。
PR才田 智
近大戦の時、ペナルティもらった後のラインアウトのチョイスミスがあったので、自分たちの強みは何かって考えて、やっぱりスクラムが外せないからずっと一週間準備していた。そのスクラムではこだわれた。シンビンも取れたし、最初にトライ取れたし、圧力をかけることができたのではないかと思う。近大戦ではブレイクダウンが甘いところがあった。ブレイクダウンは春からずっとやってきて、春はできていたのにできなくて、でも春にできていてできないはずはない、そこはもう一回やろうと。先週1週間はどんな状況でもとにかく同志社として試合に出ている責任を感じて前向いて、上向いて俺らのラグビーをやり切ろうと思っていた。取られて、攻められて、苦しい時間もあったが、今日は下を向いている人は1人もいなかったし、気持ちが強かった。ただ、今日は勝ったが、がけっぷちの状態はつづく。残り一敗もできないので、とにかく前を向いて戦っていきたい。
HO東 大樹
前回の試合では、ゴール前で自分達の強みであるスクラムにこだわり切ることができなかった。その点で今回の試合ではスクラムにこだわることができて良かった。アタックの際にはしっかりとためをつくることに意識した。(森山が復帰したが)森山さんは背が高いので、シンプルにラインアウトが投げやすかった。ラインアウトについては、アタックは二本ミスしてしまった。(次戦に向けて)もう一敗もできない状況。フォワードとしてセットプレーで圧倒したい。
PR海士 広大
しっかりと対策を立てて、相手の嫌な所を突いていこうと思った。スクラムでしっかりプレッシャーをかけたら絶対相手側に穴が開くと思っていたので、そこは意識してやった。ラックも簡単に出さずに、一枚噛んでから球出しするようにした。(森山選手と松井選手の復帰について)精神的に楽になった。二人はプレーでも信頼できる。自分も思い切りよくプレーできた。(次戦に向けて)勝った後こそ、このまま負けられない。今日みたいなプレーが出来れば勝てる。自分たちの持ち味を出していきたい。
LO山田 雄樹
(開幕戦は負けたが) チームとしても少し甘いところがあった。もう一回、一から練習厳しくやり直そうってキャプテン中心にまとまって、今回はそこができたかな。(関大の)DFは前に出てくるイメージがあったが、前半そこにはまってしまって前に出られなかった。でも前半風下でしっかり耐えられて、後半には自分たちがしたいラグビーができたので良かった。とにかく相手が上がってくるので、しっかり展開を意識した。後半は外に展開できて自分たちの流れでラグビーができたので、そこは良かった。スクラムは自信あった。試合前からスクラムにこだわってやろうってFWで言っていたので、そこはプラン通り。今日は前の前列がしっかり頑張ってくれたのでそこは良かった。(次戦に向けて)これ以上は絶対負けられないのでしっかり次も勝って、これから全勝して関西優勝からしっかりやっていきたい。
LO森山 雄
関大はDFで前に出てくるチーム。今週はBチームで前によせるDFをしてもらっていて、それに対応する準備は一応してきた。とりあえず勝ちにこだわろうってところと、やってきたことが先週は出せなかったのでもう一回春夏を通してやってきたことを思い出して、それをやりきろうと。(前半は)風下だったのもあると思うけど、ずっと自陣でやっていたので、まず敵陣にいこうっていうのと我慢の時間っていうのはみんなで言っていた。(次戦へ向けて)相手に合わせるっていうよりも、ずっと自分たちがやってきたものをやるだけ。一週間空くししっかり準備ができると思うので、もう一回自分たちの反省点を立命戦で改善できるように準備していきたい。
FL秦 啓祐
今日は個人的には近大での負け、悔しさを関大で晴らしたいと思っていた。勝てたということは、自分たちのしたいことができたのではないかと思う。FWはプレッシャーを前にかけることができたし、相手のFWを内に寄せず、前に出させなかったので、よかったと思う。同志社はアタックもDFも前に出て行くチーム。これをすることができたし、それでトライを取れたのは精神的にも良かった。近大のときは試合中あたふたしてしまったが、今回は試合中に、FWからもBKからも修正したいところや案がでてきたのは良かった。(スクラムについて)フロントローが本当にがんばってくれた。相手にプレッシャーをかけて、スムーズにボールを出させなかった。(前節からポジションも変動したが)僕のポジションはどこでもいい。(森山や松井と)一緒に出ることができた、うれしい。近大での負けを心配してくれていたし、情けなかったから、勝ててよかった。ただ、こんなもんで満足してはいけない。修正して、先を見据えて一つ一つ勝つことも大事。
NO8倉本 吏哉
(初めてのAチームスタメンだったが)キックオフ始まるまではかなり緊張していました。風の関係もあって、堅くいこうとチーム内で話し合っていたし自分たちのやってきたことを出そうと、それだけを意識してやっていた。セットプレーでは優位に立てていたと思うし、そこはよかった。何より、チームとして今までやってきたことをもう一度見直しそれができたことが一番良かった。(何度も良い突破を見せていたが)アタックが自分の持ち味だと思うので、前へ前へ突破しようと意識した。そこはまずまずできていたのかな。ただ、ディフェンスの部分ではゲインされる場面が多かったし、個人的に苦手なのでそこは課題かなと。
SH大越 元気
今シーズン初の先発。速いテンポの中でも落ち着くように心掛けた。今回前半から試合に出してもらったので、自分が入ったら絶対勝つという覚悟でやった。関大はディフェンスの良いチームで前半は風をうまく利用してきた。ブレイクダウンではプレッシャーをかけられてしまった部分があったし、FWにしっかり意識させて細かいコミュニケーションを取っていかないと。今日は、外に良い選手がいるのでしっかり外に運ぶことを意識した。テンポの緩急も意識してやっていけたらなと。
SO渡邉 夏燦
先週から修正したところは細かい部分もあるが、声をしっかりだすこと(コミュニケーションをとること)。前半は風下だったので、我慢して堅く攻めることを心がけた。後半は自分たちの持ち味をだせるように心掛けた。近大戦のブレイクダウンで自分たちのアタックは二人目のカバーが遅かったが今回は早くやることができた。そこは良かった。森山さんはラインアウトのリーダー、千士はバックスとしての決定力を持っている。千士からも声が出てボールを要求していたので良かった。チームのみんなも彼から色々学べたと思う。(次戦に向けて)春は勝っているが秋は全然違うチームに仕上げてくると思う。しっかり分析して挑みたい。
CTB林 真太郎
前半、風下ということもあり自陣でプレーすることが多くなってしまった。ピンチ脱出の方法を再確認しないと。関大のディフェンスは前に出てくるので、先端やFWで深く溜めて個人個人が自分のペースに持っていく練習をしてきた。そこは出来ていたのではないか。(立命館は)強いチーム。自分たちのやりたいことが出せるようにプレッシャーをかけ自分たちのペースに持ち込めていけたらいい。
WTB松井 千士
前半は良い展開になかなか持っていけなかったが、前半終了間際から波に乗れたかなと。風も強く、前半はキックゲームでは勝てなかったが、そうした中でも粘り強くディフェンスできたと思います。(セブンス日本代表活動の合間を縫っての出場だが)疲れはありましたが、体は軽く調子はよかった。連携面でもまだまだ不十分なところもあったが周りが自分のやりやすいようにボールを回してくれました。チーム全体的にプレーの波があったので一貫性と集中力を持ってやっていきたい。
1 海士 広大(商3)
2 東 大樹(スポ4)
③ 才田 智(社4)
4 山田 有樹(社3)
5 森山 雄(商4)
6 野中 翔平(スポ2)
7秦 啓祐(心理3)
8 倉本 吏哉(商2)
9 大越 元気(商3)
10 渡邉 夏燦(社4)
11 安田 卓平(商1)
12 石田 幹太(商3)
13 林 真太郎(商4)
14 松井 千士 (スポ3)
15 﨑口 銀二朗(社4)
16 藤川 翔悟(社4)
17 趙 隆泰(法3)
18石橋 海洋(スポ2)
19朴 成脩(法2)
20 山崎 翔太(社2)
21岩村 昂太(スポ4)
22永富 健太郎(スポ3)
23 吉澤 奨悟(商4)