11月23日に行われた関西学生ラクロス2020特別大会最終節で、宿敵・関学大を10-4の6点差で制し、今シーズン最後の大会で堂々と有終の美を飾った。4年生にとっては、これまでのラクロス生活の集大成となる最後の大会であった。最終戦の相手である関学大は毎年同志社と関西王者の座を競い合うライバルであり、今回も接戦が予想されていた。しかし、出場選手たちはおのおのが持つ実力と練習の成果を発揮し、攻撃でも守備でも終始相手を圧倒。最終戦を悔いなく戦い抜いた。

円陣

試合開始のチア
試合開始。始まりのドローをあげた村田(グロ地3)が最初のドローをしっかりと取り切り、落ち着いてゴール前へとボールを進めていく。村田の安定したドローゲットにより流れをつかんだ同志社は、開始4分、先制点を奪取する。得点選手は今年度ディフェンスサブリーダーを務め、高いリーダーシップと確かな得点力で3回生ながらチームをけん引する井田(心理3)だ。相手ディフェンスのファールにより手にしたフリーシュートチャンスを確実に決め、1-0とリードを奪った。幸先の良いスタートを切った同志社はその後も攻撃も続ける。開始11分では、積極的なプレーが持ち味である鎌田が攻め気を発揮し、1対1を仕掛けシュート。2-0と点を追加すると、続いて開始12分。村田のドローゲットからそのパスを石井へと素早くつなぎ、テンポ良くボールを展開する。すると、最後にパスを受け取った井田がここで勝負に出る。ゴールから遠く離れた位置から狙いを定め、力強くシュート。井田の鋭いロングシュートはゴール下へと突き刺さり、早くも得点は3-0。昨年度女子19歳以下日本代表に選出された村田、石井、井田が見せた連携プレーと圧巻のシュート力がベンチを湧かせ、3点リードで第1Qを終えた。

会場を沸かせた井田のロングシュート
第2Q開始。ドローから間もなく、同志社はボールを奪われるも、ディフェンス陣の強いプレッシャーが鉄壁となり、相手の思うようにシュートを打たせない。開始4分。同志社はゴール前へとボールを運び、得点チャンスを作る。素早いパス裁きでディフェンスを惑わすと、相手が見せた一瞬の隙を石井(スポ3)が逃さずシュートを放つ。抜群のタイミングとシュートコースでこれを決めきり、4-0と点差を広げた。そしてここから、攻撃に火がついた同志社の猛攻が始まる。アタック陣の巧妙なパス回しとチャンスを逃さないシュート決定力で相手ディフェンスを打ち破る好プレーが炸裂。開始5分、まずは村田(グロ地3)の1対1、次いで石井のアシストからのパスを受け取った森(スポ4)のシュートで2点を奪うと、続けて谷山(スポ3)、そして福地(経4)のカットインシュートで連続得点に成功。練習で力を入れてきたゴール前アタックの成果が存分に発揮された。実力が発揮されたのはアタックだけではない。相手の攻撃に強いプレッシャーを与え続けた同志社は、前半戦を無失点で守りきり、8-0の大差をつけて第2Qを終えた。

得点を喜び合う選手たち

壁となり、ゴールを守るディフェンス陣
後半開始。前半で大きなリードをつけた同志社は、第3Qでも確実に点を重ね、確実に勝利へと前進する。開始3分。ボールを手にした鎌田がここでも積極的なプレーをみせ、1対1を仕掛ける。最後のシュートまでしっかりと決めきり、今試合2得点目をあげた。9-0の9点差をつけても尚、同志社の勢いは止まらなかった。開始13分では、交代で投入された山口(政策3)がうまくディフェンスに切り込み、1対1を仕掛け、シュート。ゴール端を突く鋭いシュートコースでこれを決めきり、チーム10点目を飾った。その後、同志社は1点の失点を許すも、それ以上の失点はなくゴールを守り、10-1で第3Qを終えた。

果敢なプレーで得点を重ねた鎌田(商4)
ディフェンス陣の強いプレッシャーと中村(スポ4)の好セーブにより、ここまでを僅か1失点に抑えてきた同志社。9点差をつけて迎えた最終Qでは、逆襲を狙う関学大に怒涛の攻撃を仕掛けられる。開始1分。ゴール前付近、クリア途中で相手にボールを奪われ、同志社はディフェンスに切り替える間も無くシュートを打たれるピンチに陥る。しかしこの絶望的なシチュエーションで、ゴーリー・中村が学生生活の7年間に培ってきた抜群のセーブ力を発揮。窮地でも冷静さを忘れず、的確な判断で相手のシュートコースを見破り、失点を食い止めた。その後も同志社は立て続けにシュートを打たれるが、守護神・中村の好セーブで失点を3点に抑え、10-4で試合が終了。宿敵を相手にそれぞれが持てる力を出し切り、圧倒的な強さで有終の美を飾った。

守護神・中村(スポ4)
全勝を目標に臨んだ今大会であったが、チームは1試合目で敗戦を喫し、かなり悔しい思いをした。しかし、選手たちはその悔しさを乗り越え、最終決戦に向けてミーティングや戦術などの準備を重ねてきた。その結果、試合では大学生活を捧げてきた4年間の実力をおのおのが発揮し、攻撃だけにとどまらず守備においても相手を圧倒。最後まで勝利にこだわり努力を重ねたからこそ、チーム一丸となって納得がいく勝利をもぎ取ることができたのだ。
試合後、今年度主将を務めた森はこの一年を「周りに支えてもらった一年。試合メンバーは20人だけど、部員全員がいないとチームは成り立たなかった。感謝だらけの一年でした」と振り返り、選手だけでなく、コロナ禍で支えとなってくれた、コーチやOBOGなど、様々な人々に対する感謝の言葉を口にした。

試合後の部員とコーチたち
入部当初から全国大会を目指してきた選手たちにとって、今年は異例の1年であった。本気で日本一を目指してきたからこそ、自分の中での葛藤や、仲間とのぶつかり合いもあっただろう。しかし、この特別な1年だったからこそ生まれた絆や、ラクロスを通じて得られたものがあったに違いない。どんな時も前を向き、この4年間を全力で駆け抜けた4回生たち。「自分たちが目指すことができなかった日本一を、来年は必ず獲ってほしい」(森)大きな夢と志を次世代へ託し、秋晴れに似合う清々しい笑顔とともに、森組最後の戦いが幕を閉じた。(立入愛美)

最後の試合を終えた4回生