見据えるは団体3連覇
一年間の集大成、全日本インカレ団体戦。現在2連覇中の同志社は今年も頂点にのみ照準を合わせ、春、夏とシーズンを過ごしてきた。「日本一」をかけた熱戦の舞台は福岡県・小戸。晩秋の海、琵琶湖をホームとする同志社にとって、今年もアウェー下においてのレースとなる。
慣れない海面を押しのけての総合Vを飾った昨年の全日本インカレ団体戦。その裏には大会2週間前から会場である西宮で合宿を行い、海に適応したという入念な準備があった。それは今年も変わらない。9月頭に行われた全日本インカレ個人戦。団体の前哨戦に位置づけられるこの大会は、毎年愛知県・蒲郡で開催される。この大会前後の2週間ほど、同志社は蒲郡で合宿を張った。琵琶湖とは違う海特有の潮流や風に慣れるためだ。

垣野(左・経4)・石川(右・経4)

山田(奥・商3)・北原(手前・政策2)

杉山(左・商1)・山梨(右・経3)
スナイプ級では山田・北原艇、そして垣野副将・石川艇と2連覇の立役者である2人のスキッパーがそのまま残っている。垣野・石川艇は先日のインカレ個人において持ち味の追い上げるレースを展開し、見事3位入賞。全国レベルの猛者がひしめく中、目立つ成績を残した。それでも「全然ダメだった」(垣野)と厳しい言葉が口をつくのは、より高いレベルを目指している証拠だろう。一方の山田・北原艇は予選を兼ねる近畿北陸大会で圧倒的なスコアでチームをけん引。インカレ個人でも優勝候補と目されていたが、インカレでは悔しいレースとなった。フライングを犯し英語(反則)を出してしまうなど、15位に沈んだ。本来の実力は過去の実績が証明している。悔しさをバネに団体インカレでは必ずや躍動してくれるだろう。彼らに続く3艇目、その筆頭には杉山・山梨艇が挙げられる。全日本個人、混戦模様だったスナイプ級において、ベスト8。それでも二人は「まだまだ上にいけた」と満足はしていない。高みを目指し続けるスナイプチーム、全日本の舞台での活躍に期待したい。

徳重(手前・商4)・原(奥・スポ4)

村田(奥・商3)・金咲(手前・社4)

渡辺(手前・商1)・西野(奥・スポ4)
470級では村田・金咲艇が柱となる。近畿北陸大会個人戦では上位での突破が確実視されていたが、フライングに足を阻まれまさかの予選落ち。まさかの結果に唇をかんだ。だが、マイナスばかりではない。実戦での失敗を通して浮かび上がった課題を克服することで現在は好調を維持。蒲郡合宿での練習についても「攻めの走りが出来ている」と手ごたえを口にしている。「慢心していたところがあった」。村田艇と同じく英語を出してしまったことで全日本個人の切符を逃した渡辺・西野主将艇もレギュラーとして期待がかかる。苦い思いをして得た経験値は、全国の舞台で戦える武器となる。そして徳重副将・原艇。同志社から2艇のみとなった個人インカレでは、ベスト10に名を連ねた。実力者がひしめく470級は、昨年に続き今年も優勝の原動力となるだろう。
全日本個人では随所に光るものは見せたものの、本調子とまでは行かずやや消化不良気味に終わってしまった。ただ、見据えるのはあくまで団体戦の王座。「団体インカレまでの2か月間をどう過ごすか」(西野主将)。同志社には2連覇という実績、そして全国の舞台で勝つためのノウハウがある。本番にきっちり照準を合わせ、晩秋の小戸に同志社が笑う。(笹部拓也)