新体制の雰囲気は――
米原「俺的にはやりたい練習をやらせてもらっているかんじ。ピッチャーたちも任されている分、期待に応えなあかんとなってて雰囲気はいい。」
岡本「雰囲気良いよな。集中できるしビジョンがぼやけない。今年が1番身になってる気がする。」
米原「ポジションごとに絆ができたんじゃないかな。」
福井「後輩とも面談してて「今厳しいけどめっちゃ好きです」って聞くな。」
米原「面談始まったんですよ。例年にはなく。キャプテンと1対1のな。」
福井「僕が勝ちたい勝ちたいと言っても響かないのでまずはひとりひとりの思いを聞こうと思って。そこから始めようということで。1、2年生はもう終わりました。」
米原「めっちゃ良いと思うわ。いろんなこと思ってる奴もいっぱいおるやろうし。」
福井「あれしたいこれしたいっていうのも多分1対1じゃないと言えへんこともあるやろうから。」
岡本「そういうのも言われるんや。」
福井「うん。なんもないことないやろって。「僕、実は…」ってのもあるし。また終わってから皆に言おうと思ってる。」
米原「今の時期ってめっちゃしんどい練習するやん。そのしんどい練習をみんなで乗り切ることで団結は生まれてくるし、結局はこのチームで勝ちたいと思わないと。やるのは俺らだけじゃなくて皆だから。今すごい楽しいし良い雰囲気でできてるな、勝ちたいなっていうチームになってきてると思う。手応えはどうですか、キャプテン。」
福井「手応えはめっちゃあるし楽しみやな、リーグ戦とかも。自己満とかじゃないけどきっちりできてると思う。これであかんかったらしゃあないぐらいの割り切った気持ち。」
米原「だってほんまにしんどいもんな。」
岡本「しんどい。」
福井「ぼくたちがしんどいようにやっているので(笑)3人とも野球をそれなりにやってきた人間なので。」
岡本「しんどいけど楽しいで。バランスが取れてる。」
米原「高校のメニューとか聞いてくるやん。言いたくないんですよ。しんどいのわかってるから(笑)でも真吾に言われたらな~言うしかないなって。」
何事にも真剣に取り組む主将、福井
幹部になった経緯――
福井「キャプテンは僕になるっていう雰囲気だったので。」
米原「真吾は投票で満場一致だったんですよ。」
福井「一応投票もとってみたんですが僕と健太郎はわりと満場一致でした。拓朗は自分が選びました。副キャプテンは自分で選ばせてくれと皆には言ってたので。拓朗も過半数は入ってました。決めるのにそこまでもめたような記憶はない気がする。」
岡本「自分でもやりたいと思ってたからね。」
福井「正直拓朗は自分のことしか考えないような奴だったんですよ(笑)今まで(笑)2年生まで打てたらいいわって感じで結果も出てたので。ただ副キャプテンになったらそれだけじゃだめなので自覚をもってほしいと。こいつが自覚もったら最強の選手になってくれるかなと僕なりに思ったし。技術が良い奴が言ったらそれなりに響くと思うので拓朗にやってほしいと言ったんですけど。まあわりと変わってくれてるかな。」
岡本「ほんまか?(笑)良いように言ってくれ(笑)」
福井「前よりかは、ですよ(笑)自覚ないような奴ではないので。幹部がまとまっているのはみんなにも伝わっているかなと思う。」
持ち前の明るさでチームを盛り上げる米原
ラストイヤーでの目標――
福井「それはもう全国制覇。」
米原「最初のミーティングで全国制覇って言ったんですけど、その後真吾が「この代だけじゃなくて俺に携わってる下の学年も全部全国制覇させたい」って言ってて。あれで皆目つき変わったなって感じたな。後輩に後から聞いてもあれで本気やと思いましたって。」
福井「伝わっててよかった。自分の代だけ頑張ろうと思っても無理だなって。三連覇したいと思えば思うほど今を頑張らないと。後輩たちが意見を出せるのが準硬式の良いところではあるので。別に幹部が偉いっていうわけでもないしどっちかっていうといろんな意見を幹部に通してそれを反映していくのが準硬式の良さ。」
米原「言ってしまったからにはほんま全国制覇しないとダメやな。年越しスイングしたもんな。」
福井「年越しスイングしたな~」
岡本「俺は長スパ(ナガシマスパーランド)おったけど…」
(一同爆笑)
口数は少ないがプレーでチームを引っ張る岡本
今後期待している選手は――
福井「これ大事ですよねアトム的に(笑)」
岡本「載ってたらめっちゃ頑張るで多分。」
米原「坂枝かな。」
岡本「最後秋は調子落としてたので復活してほしいという意味で。」
米原「ピッチャー陣もね。」
福井「俺も。固まってきていると思う。足にぐらつきがないし。」
岡本「あいつらは鍛えてるよな。動きよる。」
米原「結局はみんなに期待したい。」
岡本「みんなほんとに頑張ってるしね。」
1番として流れを切り開く福井
新チームで立命館に敗れ秋季リーグ2位という結果に終わったが――
福井「完全に僕ですよね。彼らには言ってないんですけど。上の代が終わってから新チームのリーグ戦までに期間が全くなくて。上の学年がいるときから自分がもっと新チームのことを考えていればちょっとは変わったかなと思った。またそういうところも健太郎や拓朗にも言っておけば彼らの意識も変わってたと思うし。」
米原「抱え込むなって(笑)」
福井「あの2位はほんとに病んだな~。」
米原「めっちゃ落ち込んでたし真吾のこと心配やったもん。」
福井「4番が5割7分打っても優勝できないのは大問題だなと思って。まあそれも含めていい薬になっているし。次こそはという気持ちはより一層ある。僕たち幹部は熱い選手が好きなので。皆にも気の無い選手は入れる気はないと伝えてあります。ここ1番の場面でそういう選手が活躍すると思うのでそういう選手を出させてあげたいのでお願いします(笑)」
米原は春季リーグの目標に開幕スタメン、打率3割をかかげた
お互いに対してそれぞれに思うこと――
福井「健太郎は場を盛り上げるところというか、逆境をはねのける声を出すからすごい助かってる。自分が厳しいことを言った時にチームが落ち込む中で健太郎がなにか一言話すことでチームがもう1回起き上がるのを練習してて実感する。キャッチャーはとくにそういうポジションでもあると思うので僕にないところを貫いてほしい。あと健太郎は1番悔しい思いをしているんじゃないかな。僕と拓朗は下級生のときから試合に出ていて、出るのが当たり前となっている中で健太郎は出れない悔しさも知っているので。そういうところはみんなに影響を与えやすい人間なんじゃないかな。だからそういう人間だと思ってチームに接してください。」
米原「はい!(笑)」
岡本「健太郎はのし上がっていったから。レギュラーになるために頑張ってる姿を1番見せてるのが健太郎。レギュラーをとったボーダーラインの選手は健太郎を見るのが1番奮起できる。俺らにはできひんことをしてるな。」
米原「新チームが始まって1歳上には絶対的なキャッチャーがいて2番手には河野(文2)で。リーグ戦途中から出られるようになったけどすごく楽しくて。今まで出られていなかった分すごく充実してた。また春に出たいから今追い込んでる。副キャプテンとしては…僕も中高でキャプテンしててはじめて別の人がキャプテンになるってなったけどミーティングとかでも高校の時真吾みたいなキャプテンやったらええなって思うことがある。真吾の意見をしっかり下に伝わるように。真吾がテストなどで抜けたときも真吾のスタイルで同じ練習ができるようにするのが僕たちの仕事やなと思う。」
岡本「真吾がいると安心する。」
米原「しんどいメニューの時とかも1番頑張ってるよな。背中で引っ張ってる。」
福井「それがキャプテンのモットーじゃない?(笑)」
岡本「2年くらいまでの真吾の後輩との距離感はちょっと心配してた。キャプテンとして厳しくしないといけなくなるのが分かっていたからやろうけど。」
福井「こいつだけとめっちゃ仲いいとかいうのは2年の間は作らんとこうと思ってた。」
岡本「気負っててしんどそうやなーって思ってた。わざとしてるならかわいそうやなって。」
福井「今はそんなことないけどね。みんなとガチンコで、本音で向き合うぐらいの。」
岡本「キャプテンになって高校の監督みたいに距離置いてやっていく感じにならんくて良かったなー。」
福井「今度は僕から寄り添っていこうって思って。」
頼れる4番、岡本
勝ち方について――
福井「ロースコアで勝つイメージ。秋はヒットが出ないなりの戦い方ができなかったのが反省点。スクイズとかね。」
米原「真吾の理想の勝ち方は?」
福井「ピッチャーが1点以内で抑える。守備はノーエラー。見えないエラーなども一切なしで。打者はよくとって3点。2-1とか3-2で勝つのがベストかな。」
米原「立命館や関学に良いピッチャーがいるけど「ピッチャー陣」として見ると同志社が1番層が厚いのを感じる。1人ケガしたぐらいじゃ崩れないというか。」
岡本「圧倒的に勝ちたいな。」
福井「打ってピッチャーを楽にさせたいですね。野球はピッチャーが左右するので。皆エースになりたいと思ってやってほしい。」
どういうラストイヤーにしたいか一言で。
米原「「集大成」…野球を本気でやれる環境にいれるのが最後。中高と良いチームで野球ができたなというのがあって。大学はほんとに最後だから絶対に後悔したくない。今まで辿ってきた道のりっていうのは間違いじゃなかったと思えるくらいの最後にしたいから、頑張るっていう意味を込めて集大成。」
岡本「「自分史上最強」…野球を本気でやるのが最後っていうのはみんな一緒。せっかく10年以上野球してきたし1番良いパフォーマンスを。最後、アスリートとして最高の自分に仕上げたい。去年は三冠王もとったしバッティングだけでいったら関西で最強という自負はしているし、関西だけじゃなくて全国でも最強といわれるぐらい、他のチームにも一目置かれるくらい仕上げて全力でやっていきたいという思いを込めて、最強で。」
福井「「溌剌(はつらつ)」…小中高大とキャプテンをやってて大学が1番充実させたい、キャプテンはなんでも背中でひっぱれるような溌剌とした対応を振舞いたいという意味で。あと自分のことを知らない人に同志社の10番はオーラがあるなと言われたいので。立ち振る舞いであったり姿勢というのは意識したい部分であるので溌剌にしました。」
同志社のチームカラーとして伝統的に個性が挙げられるが、その個性派揃いを束ねるこの3人。今回の対談で彼らが幹部としてチームのことをいかに熱く想っているのかが伝わった。練習風景を見学させてもらった際の選手たちの活気や笑顔は彼らの日頃の努力によって生み出されていたのだと実感した。第三者から見ても楽しいのが伝わる彼らの野球が実を結び、全国制覇へと導いてくれることを願ってやまない。(聞き手 金川夏帆)
◯プロフィール
米原健太郎(スポーツ健康科学部3年/168㌢65㌔/奈良県立郡山高校)
甲子園出場経験はないが文武両道の高校でキャプテンを務め上げ同志社には一般受験で入学。ポジションはキャッチャー。
岡本拓朗(商学部3年/193㌢80㌔/三重高校)
第84回春の選抜で主将として甲子園に出場し同志社には推薦で入学。恵まれた体格で手足も長いがバットコントロールに長けておりチームでは不動の4番。大学1年から試合に出場し昨春には三冠王を獲得した。ポジションはライト。
福井真吾(商学部3年/176㌢66㌔/近江高校)
岡本と同じく第84回春の選抜で主将として甲子園に出場し推薦で入学。「とにかく自分が出塁して流れを作る」。彼が毎試合意気込みを語る上で出てくる言葉だ。ひたむきな姿勢でチームをけん引し、昨年は春夏ともに打者十傑に選ばれた。ポジションはセカンド。