白水組、最後の挑戦
昨季、4季ぶりに2位となり躍進を見せた同志社大学硬式野球部。最終節まで優勝の可能性を残していただけに味わった悔しさも昨年まで以上だった。頂点までのあと一歩の差を埋めるため、選手たちは汗を流してきた。

エースとして期待が寄せられる福島(法2)
リーグ制覇のカギを握るのは投手陣。主要なピッチングスタッフは昨季と変わりはないが、「数字から客観的にみても必要なのは投手陣のレベルアップ」と澁谷監督は分析した。昨季は福島がリーグ最多タイとなる5勝、平尾奎(法4)が2完封を含む3勝を挙げるなど奮闘したが、指揮官が課題に挙げたのは防御率、イニングの2点だ。福島、平尾奎は共に防御率2.66と安定した成績を残すも、他大学には防御率1点台を誇るエースがそろっている。これらの好投手から大量点を奪うことは困難なため勝敗を分けるのは1点の攻防。福島、平尾奎の2枚看板がどれだけ粘り強く最少失点で相手を抑えることができるかが勝敗を分ける。
二人の後を継ぐのはリリーフエースの平尾拓(経3)。昨季は難しい場面でのリリーフで幾度もチームのピンチを救ってきた。今年、ルーキー最速でリーグ戦初登板を飾った溝田(スポ1)の成長も楽しみな要素だ。今季も4人体制で回すと指揮官は明言しているが新戦力の台頭も待たれるところだ。オープン戦で好投を続けたルーキー松井(法1)、村居(商1)や京都トーナメントで最優秀投手に輝いた渡邉(スポ3)らがベンチ入りを狙う。

3番ファーストでの出場が予想される竹中(商3)
自慢の打線には秋にも期待がかかる。昨季リーグ1位のチーム打率0.324をマークした打線は今季も健在だ。井手(スポ4)を中心としたどこからでも点が取れる切れ目のない打線は相手投手の脅威となるだろう。注目は今季から3番に腰を据える竹中。昨季は終盤戦から出場機会を増やすと規定打席未到達ながらも打率0.375、5打点の大活躍を見せた。井手、白水(スポ4)と組むクリーンナップが機能すれば得点力はさらに高まるだろう。
不安要素は不動のリードオフマン・辻の負傷離脱。1番バッターの出塁はチームの得点力を大きく左右するため、出場が予想される矢野、福原の出来が重要となる。「クリーンナップを打ってもおかしくないバッターが下位にもいる。いい選手がそろっているし、あまり心配していない」(澁谷監督)と昨季高い成功率を誇った代打陣も含め、打撃は今季もチームの強みとなりそうだ。また、昨季リーグ最少である6失策の堅い守備も、幾度もピンチの芽を摘み取ってくれるだろう。

昨季首位打者を受賞し今季も打線の中軸を務める井手
春から試みている意識改革は現在も継続中だ。チーム一丸となり、本気で優勝を目指し戦った春季リーグで4季ぶりの2位。目標は果たせなかったものの、久々のAクラス入り。「浮ついていたわけではないけど、一安心という空気が流れていた」(白水)、チームに弛緩した空気が流れ始めた。白水らが中心となってミーティングを重ね、改めて選手たちの勝利への気持ちをすり合わせた。「雰囲気も締まってきたし、新しい良さが出てきている」(井手・スポ4)。もう一度、リーグ戦を戦う準備ができた。

主将としてチームを一つにまとめる白水
「2戦目に大差で勝っても1戦目で負けたら意味がない。秋はエース級のピッチャーを打ち崩したい」(白水主将・スポ4)、優勝を狙う上で避けられないのは1戦目に登板するエースピッチャーとの対戦。春は1戦目で阪本大(関大)、中内(関学)、東(立命大)ら好投手が先発した試合を落とし、V逸に大きく響く結果となった。一つの敗戦が命取りとなるリーグ戦はスタートダッシュが重要視される。まずは9月3日に行われる開幕節対近大戦。プロ注目のエース畠をいかに攻略するかに注目したい。
「春で去年とは違うというのは示せたとは思う。ただ、勝たないと意味がない」(白水)、この秋が1年間の集大成となる。超変革を遂げた白水組の、最後の挑戦が始まる。(吉田 諒)
▼コメント

#1白水(スポ4)
(夏の取り組み)
バッティング。オープン戦ではずっと5番を打ってきた。勝負所で井手に回るとカウントが悪くなったら勝負を避けられたりすることが増えると思う。そこで自分がいい成績を残すことで井手でも勝負しないといけないと思わせたい。
(秋に向けて)
春のベストナインはたまたま。大げさな話自分が出なくても優勝できればそれでいい。

#10井手(スポ4)
(夏の取り組み)
もう一回体を作り直した。まずは夏の練習に耐えられるように。守備を強化した。まだまだ技術的に足りていないし、練習すればするほどうまくなるものだと思うしもっとうまくなりたい。打撃はオープン戦ではあまり結果は良くなかった。不安もあるけど、4番を打たせてもらっている以上焦ってはいけない。
(秋リーグに向けて)
とにかく優勝したい。

#7大西(商4)
(夏の取り組み)
守りの部分、ゲッツーなど。点を取られてピンチが続いている場面で追加点を取らせないようにできているし成果は出ている。
(秋リーグに向けて)
4回生にとっては最後のリーグ戦。春は優勝争いはできたけど勝ち切れなかったしその悔しさを晴らしたい。入りが大事だし開幕節勝っていい流れを作りたい。

#18平尾圭太(法4)
(夏の取り組み)
春、コントロールが前半ボロボロで後半は良くなったがそこに重点を置いた。コーナーを、投げ分けるだけじゃなくて高さもしっかりと投げ分ける練習をした。OP戦では疲労で撃ち込まれることもあったが成果は出た
(秋リーグに向けて)
投げきれるのがベストではあるがとにかく試合を作る。中継ぎにわたすにしても最少失点でしっかりとした形で繋ぎたい。まずは絶対リーグ優勝すること。個人では防御率を1点台にしたい。やるからには投手で1番になる

#6京田
(夏の取り組み)
試合に出るために夏しぬほど振りこんだ。OP戦での起用方法から自分の役割を自覚し、代走、守備固めとしてしっかり準備する
(秋リーグに向けて)
チーム優勝できたら何でもいい。

#2山岸
(夏の取り組み)
配球と盗塁阻止を重点的に練習した。
(秋リーグに向けて)
チームとして優勝したい。個人でも自分の仕事はチームを優勝させること。

#3平山
(夏の取り組み)
守備を重点的に練習した。OP戦ではあまり調子が良くなかった。
(秋リーグに向けて)
優勝。自分の役割は良い場面で回ってくるからどんな形でも良いからランナーを返す。初戦で勝ったらのっていくことができるので苦しい戦いになるがどろくさくやりたい。

#8竹中(商3)
(夏の取り組み)
守備が苦手な部分があるので最低限できるよう取り組んできた。バッティングは得意なのでそれを発揮できるようにしたい。オープン戦の結果は満足というわけではないけど苦手な左ピッチャーからいい内容の打席をつくれたのは収穫。逆に右に対する内容が良くなかったので秋まで残り短いけど修正していきたい。
(秋リーグに向けて)
1年からずっと出させてもらって思うような結果が出ない日が続いてもどかしさがあった。今季は4回生が最後のリーグ戦で、いろいろお世話になった学年だし恩返ししたい。今年は泥くささというか、みんなで1点を取りに行けている。チーム一丸となっているしとりあえずリーグ優勝は絶対したい。

#20矢野
(夏の取り組み)
バッティング。打率が物足りなかったから、自主練でバッティングに割く時間を増やした。今季は1番として出るか四球であれ何であれら出塁を大事にしたい。フライアウトをしたらダメだから強いゴロを打つように意識している。
(秋リーグに向けて)
4回生が最後だし、何としても優勝したい。

#29西田悠(法3)
(夏の取り組み)
春2位だったんでこのままの、練習ではダメなので突き詰めていった。次につなぐバッティングをしたい。全員で繋いで点を取りに行く
(秋リーグに向けて)
もちろん優勝。個人では逃したベストナインを取りに行く

#14平尾拓(経3)
(夏の取り組み)
勝負所での投球、ランナーが出たところでいかに0で抑えるかということを意識してきた。オープン戦の内容は自分では納得できないけど調子は上がってきている。これを投げられれば打たれないっていう納得いくようなストレートを投げられるようになったのが収穫。
(秋リーグに向けて)
一人一人が精一杯やることをやればいい結果につながると思う。どんな形でもいいからチームに貢献したい。

#35福原(政策2)
(夏の取り組み)
全体的にレベルアップしようと練習してきた。オープン戦では代打がメインだったけど最後の方は左ピッチャーの時はスタメンが増えてきた。代打は得点圏でどれだけ打てるかが大事。この間ようやく一本タイムリーが出たんで安心している。
(秋リーグに向けて)
1年秋からずっと出ている辻がケガで出れなくなって、2年生の野手でベンチに入っているのが自分しかいなくなった。しっかり辻の分まで頑張りたい。スタメンじゃなくても、代打でもいい場面で打ってチームに貢献したい。

#38福島
(夏の取り組み)
全体的なレベルアップのために下半身強化のウエイトトレーニングを、多めにして球数を増やして投げ込んだ。指のトレーニングで握力もあげ、球のキレが良くなった。OP戦でボールに力が入ることがわかり成果が出てることがわかった。ストレートがいい。春は5勝はしたが防御率が悪くて打線がたくさん打ったから勝てた感じが大きいので自分の力で勝てる試合をしたい。
(秋リーグに向けて)
(開幕戦の相手、近大のエースピッチャー)畠は大量点が取れるピッチャーではないし、とにかく相手に先に点をやらないことが大事。個人的には防御率を1.5以下にして、やっぱり今の四年生と一緒に神宮でプレーしたい。

#19溝田
(夏の取り組み)
春少し投げさせてもらえたがやはり長いイニングを投げたいと思ったのでランニングでスタミナを上げた。投げるテンポが遅いと監督に指摘されて早くすることを心がけて練習した。テンポを早くして考える時間を与えないことで相手に球種を絞らせないことがOP戦で実感できた。リーグ戦でもこの意識で投げたい。
OP戦では長いイニングを試してみたかったがまだ監督に信頼されてない。もっと実力をつけないといけないと思った。チェンジアップを取り組んできたが幅広く使う。まだ自分のウイニングショットがないのでもっと磨かないといけない。
(秋リーグに向けて)
チームの優勝に貢献する。無失点に抑える。そして来年平尾圭太さんがいないので、自分が先発できるということを、短い中継ぎではあるがゼロを積み重ねアピールしたい。