2発目の”雷”を落とせ!
雷は同じ場所に2度落ちないーー。という迷信があるが、どうやら科学的根拠はないらしい。空の下にある限り、同じ場所にだって落ちる可能性はあるのだ。遡ること5カ月、4月9日の関西学生サッカーリーグ開幕戦。昇格組の同志社が昨季インカレ準優勝の阪南大に挑んだ試合で、1発目の“雷”は落ちた。鶴崎、岡村のゴラッソに加えて、クリーンシートまでも達成。2-0で同志社が勝ったという結果には、誰もが度肝を抜かれたはずだ。同じリーグで戦う以上、実力差を覆すアップセットは起こりうる。現在、残留争いの真っ只中にある同志社には、2発目の“雷”を落とす必要性があるのだ。

すべては松井主将に託されている
1勝1分9敗。前期11試合を終えての結果は、これ以上でもこれ以下でもない。リーグのレギュレーションによると、全12チーム中、11位、12位は自動降格、9位、10位は2部リーグ3位、4位との入れ替え戦を戦う。勝ち点4で入れ替え戦圏内と勝ち点3差の11位に抑えたことは、むしろ幸運というべきだろうか。いずれにせよ、後期で挽回しなければ残留への道は断たれるわけだ。現実感のある数字を出すと、勝ち点15、16あたりが残留の目安とみられる。例年は勝ち点20が1つのボーダーになっているが、今年のリーグは京産大、大教大、そして同志社の“3弱”が形成されつつある。この現状を踏まえると、下位2チームとの直接対決さえ制すれば、残留に大きく近づくこととなる。日程上、下位との対戦は終盤に組まれており、最後まで緊迫したシーズンとなるだろう。

最高の応援がチームを後押し
残留を引き寄せる土台は整った。夏の金沢遠征から、エリアに応じた守備に重点を置いてきた。これは3段階に分け、相手がボールを保持している状況に応じた守備陣形をとることを意味する。前期リーグでは高い位置から数人で強引にプレスをかけたことで、外された後に後方にスペースが生まれてしまった。前方で数人が簡単にかわされると、結果的に中盤や後方で数的不利が生じ、守備位置のミスマッチを招くこととなる。そこで、プレスをかける選手以外の10人で素早くブロックを作り、スペースを消すということを徹底した。これに加えて、後期は相手に合わせて柔軟にゲームプランを組み立てている印象を受ける。後期第1節の関学大戦ではプレスのラインを下げ、得意のポゼッションサッカーに対抗した。後期第2節ではカウンターに備えたリスクマネジメントを徹底し、2試合とも一定の成果を見せた。サッカーとは単純なもので、失点さえしなければ負けることはなく、勝ち点を積み上げることができる。守備戦術の浸透こそが、残留のカギを握っていると言っても過言ではない。

スタンドには「絶対残留」の横断幕
イングランドでは、レスター・シティFCという弱小クラブがプレミアリーグで優勝した。開幕前、同志社の選手たちはインカレ出場を目標に掲げ、第2のレスターとなることを夢見た。“第2のレスター”というのを、「弱小クラブが気づけば快進撃を遂げていて優勝をかっさらってしまう」という意味と捉えれば、今季の同志社にその資格はなかった。ただし、優勝はできなくても、1部残留という大きな目標がある。勝ち点4の現状からすると残留は奇跡ともいえるが、チームのポテンシャルを考慮すると、ハードルは明らかに低い。2発目の“雷”さえ落ちてくれたら…そうすれば、残留への道筋は明るく照らされ、奇跡は起こるはずだ。(西村健汰)