全日本フィギュア直前‼出場選手特集
いよいよ12月19日に開幕する全日本フィギュア選手権大会。日本最高峰の舞台に、今年も同志社スケーターが出場を決めています。
同志社スポーツアトムでは、時國隼輔選手(商4)と友野一希選手(スポ3)に今シーズンの振り返りや全日本への意気込みなどを独占取材しました。
第1回は、今シーズンで現役引退を決めている時國選手のインタビューをお届けします。

同関戦終了後、取材に応じてくれた
今季のSPについて
ーーSPのこだわりポイントを教えてください。
時國「最後、1分ぐらい他の選手に比べて長いステップを踏んでいるので、ステップが一番魅力かなと思います。」
ーーステップは長めがいいというこだわりがあったんですか?
時國「そういうわけじゃなくて。音のステップの入り的に、長くなってしまったというのはあります。見せ場としては長い方がいいので、結構気に入っています。」
ーーこの曲(「マラゲーニャ」)を選んだ理由を聞かせてください。
時國「今までも、力強い感じの曲は使ってきたんですが、こういう男性ボーカルで、結構強い感じなのは、1回、座頭市っていう映画のタップダンスはやったことあるんですけど、それ以外はなくて。力強いのをやりたいと思いました。色んな曲があると思うんですけど、これがいいと思いました。直感ですね(笑)」
ーー近畿選選手権の時にご自身の持ち味を柔らかい演技とおっしゃっていて、FSは柔らかいイメージですが、SPはどういう風に演じておられますか?
時國「SPのほうが難しいのかなと思ったんですけど、曲に入り込むというか、聴いて、振り付けてもらって、音楽に合わせて力強く勝手になってしまうというか…。特段演じ分けているというわけではないんですけど、腕とか曲げるところを伸ばす、とかでも変わってくるかなという感じで。そういうところをFSとは変えて練習していますね。」
ーー振り付けは木原さん【=木原万莉子(スポ4)】ですが、振り付けに至ったいきさつを教えてください。
時國「先生が、他のチームの違う子を振り付けていて。先生が万莉子ちゃんの振り付けを気に入ったんだと思っているんですけど、野口さん【=野口望々花(関学大)】と一緒にどうか?ということで。先生の意向でお願いすることになりました。」
ーー同じ大学で同世代の木原さんですが、意見がぶつかったりはありましたか?
時國「ないですね、全然。結構白黒はっきり、出来てる、出来てないって言ってくれます。出来てなかったら出来てないって言ってくれますし、何かアイデアない?って言われて自分がやってみて、それいいんじゃない?と言われる時もあります。却下されることもありますけど(笑)話しすぎて進まなかった日もあったりしたんですけど。全然関係ない話で…(笑)それぐらい楽しくやっているので、全然ぶつかるとかはないですね。」
西日本を振り返って
ーー西日本選手権を振り返ってみて、どうですか?
時國「自分の中では頑張って練習してきたので…最後ということもありますけど。6分間練習から練習でしないようなミスが続いていて。それで動揺したとかではないんですけど、何かうまく噛み合っていない部分が、サマーカップ 、近畿とちょっとずつずれているところがあって。夏場、近畿の前は、課題としている回転不足がかなり減っていて。自分で見ても大丈夫、他の人に聞いても大丈夫と言ってもらえるようなジャンプになってはいたんですけど、ちょっとずつどこか噛み合わないところが増えてきて、西日本でも見た目ではわからないんですけど全然いいジャンプが跳べなくて。練習不足…だと思います。どう言ったらいいんですかね…でも、自分の中では、SPはかなり緊張してしまったんですけど、FSは緊張している中でも楽しく自分らしさが出せたのかなと思います。」
ーーラストシーズンの重圧というものもありましたか?
時國「最後だからというのは、もちろんどこかに、頭の片隅に…本当に最後と決めているので。それがどうしても緊張という部分に繋がってしまったり…。練習でのジャンプの自信のなさがSPでは出てしまったのかなと思います。」

西日本選手権のFS演技後には祈るしぐさを見せた
最後の全日本へ
ーー4年連続で出場している全日本の思い出はありますか?
時國「1年目は、SPをノーミスして、FSも第2グループで滑れたんですけど、FSが良くなくて。次はFSで頑張るって思ってきて、SPで終わっているので、FS滑りたいなと思っているんですけど、それよりは自分らしさを前面に出して終われたらいいなと。やっぱ1年に1回で、エントリーしたら誰でも出られるような試合ではないので。特別な舞台で、何十回も辞めたいと思ってたこの競技のモチベーションになってる試合なので、他の試合よりも会場に入った時は特別感があります。滑る時は、特別そんな感じはしないんですけど。やっぱり青い景色ってなかなか他の試合ではないので。」
ーーSPの衣装はどっちでいこうとか決めておられますか?
時國「本当は今日(12月1日に行われた同関戦)も緑で滑りたかったんですけど、ついこの間修理に出して。緑の色がちょっと明るすぎる…自分でもちょっと明るいなと思っていたんですけど、いい生地がなくて。もうちょっと深緑に染めてもらおうと思っているので、緑で出たいなと。でも一応、両方持っていきます(笑)」
ーー緑へのこだわりはあるんですか?
時國「あの曲はだいたい赤のシャツで黒のベストがオーソドックスなパターンではあると思うんですけど、イタリアのペアの選手が緑でマラゲーニャ滑っていたので、緑っていいなと思って。他の選手にはない自分らしさの1つだと思うので、緑がいいなと思っています。」
ーーご自身が考える自分らしさとは何ですか?
時國「自分らしさか…うーん…(笑)でも、楽しく、笑顔だったり表情の切り替えだったり、観客席からは見えづらい部分なのかもしれないですけど、そういった観客の人に1人でも目線を配ったりだとか。あとはうーん…いろんな踊りができるっていうところですかね。」
ーー全日本に向けての意気込みを教えてください。
時國「本当に最後の全日本になるので、泣いても笑っても最後なので。SPは笑う曲ではないんですけど、自分らしく気持ちよく2分50秒を滑れたら。行けることだけで幸せだと思うので。その幸せを感じながら、1秒1秒を滑れたらなと思います。」
取材は終始和やかな雰囲気で進んだ。それと同時に、笑顔の奥に宿る最後の全日本への特別な思いも垣間見えた取材となった。多くの仲間からの声援を受け、時國はスケート人生の集大成となる演技を届ける。
【取材構成・由良恭子、井代奈那子 撮影・井代奈那子】
☆プロフィール

時國隼輔(商学部4年/165㌢58㌔/就実高校(岡山県)出身)
昨年は主将を務めた。全日本選手権には4年連続出場となる。