京田辺キャンパスにあるデイビス記念館を越え、さらにラグビー場の奥。
同志社アーチャーたちは、このレンジで日々練習を積んでいる。


練習の様子
部室に入ると、王座決定戦の女子優勝、男子第3位を祝した部員からの寄せ書きメッセージが目に入る。「最後に(安久)先輩が10点が決められた時は全身が震えました。純粋にかっこいいなと思いましたし、その分そばで応援できなかったことが本当に悔しかったです」。男子新主将を務める田原(経3)は当時を振り返る。
前主将の光永(商4)からバトンを受け取り、コロナ禍の中62代の挑戦が始まった。
代替わりから1か月。「練習が1日3時間までに制限されたり、同時に練習できる人数が20人ぐらいまでになったり。そのため、好きな時間に練習場に来て好きな時間に帰るという当たり前なことができなくなってしまいました」。大学側のガイドライン要請により思うような練習が積めない中、現在は1日を3時間に分けてそれぞれ人数を割り振り、全員が等しく練習に取り組めるよう努めている。
しかし、全員で練習が難しい環境で「部員同士で参加頻度に差が生まれているのは確かです。新主将として、メンバーたちのモチベーションをどう管理していくかがこれからの課題だと思います」。
部員の思いや目標を共有するため、週に1回はオンライン上で必ずミーティングを実施。直接集まることはできないが、部として全員が同じ方向を向ける環境作りを行っている。
男子アーチェリー部の3年生は、主将の田原と鈴木(文情3)のみ。「女子部員も忙しいことが多く、気兼ねなく頼れる相手が同期の鈴木だけなのでなかなかチームを上手くまとめるのは難しいです」と、同期の少なさに不安を感じる時もあるという。それでも、主将として意識しているのはこんな時期だからこそ『いつも通り』の姿勢だ。
「新入部員はちょうどコロナとぶつかって、普段の練習風景に触れることができていないので。3年生としては、部活本来の雰囲気を少しでも感じてもらいたいと思っています。そのために、光永先輩や森田先輩(理工卒)のような今までの主将の方々を見習いつつ、自分の個性も出して『いつも通り』を実現していきたいです」。
今年の2月の主将対談にて、関西個人予選突破を掲げていた田原。しかし惜しくもその目標達成とはならなかった。「その悔しさをバネに今は自分にできることを1つずつ解決していく形で練習に励んでいきたいと思っています」。主将として、1人の選手として悔いのないよう鍛錬に励む。

異例のコロナ禍でも信念は曲げない
王座や関西個人選手権は何とか開催されたものの、試合や記録会の予定が次々と崩れていく。そんな中でも、選手たちは4月に開幕予定のリーグ戦に向かって進んでいる。「3年生2人とリーグ戦の経験がほとんどない後輩たちの中で、しっかりと戦える8人を揃えていくことが大きな課題だと思います。人数が少なく課題も山積みですが、リーグ戦に向けて1人1人楽しく頑張っていけたらいいなと思います」。

カメラにピースする田原
王座と異なり8人全員で戦う必要のあるリーグ戦は、チーム全員の団結力と1人1人の責任感が必要不可欠だ。
「目標はもちろん近大に勝って1位を取ることですが、まずはブロックで1位を取るぞという気持ちも持って、油断を許さず着実に勝利へと進んでいきたいです」。
リーグ戦開幕はまだ先ではあるが、関西制覇という揺らがない目標を叶えるため、1歩ずつ前へ進んでゆく。
【文責・井代奈那子、撮影・片渕千尋、濱田夏実】
*この取材は11月初旬に行ったものです。