
令和7年度第65回西日本バドミントン選手権大会個人戦
9月8日、北九州市立総合体育館(福岡県)で令和7年度第65回西日本バドミントン選手権大会個人戦が行われた。シングルスで山本(政策2)が7回戦で逆転勝利し、準々決勝に進出。準々決勝では死力を尽くすも強敵を前に一歩及ばず。前回大会と同じ景色をみることはかなわなかったが、確かな成長を実感した。
今大会のタイムテーブルが公開されたのは8月中旬だった。山本は男子シングルスだけでなく、男女ダブルスにも出場。大会の運営上、昨日、おとといと、それぞれ4・5試合の連戦を乗りこえる必要があった。「夏のオフ期間は体力をつけるために、走り込みや身体の追い込みを行った」(山本)。この西カレでさらなる躍進を遂げるため、万全の準備をしてきた。

迎えたこの日1戦目であるシングルス7回戦で、相対したのは笹井(立命大)。今年度の春リーグ対立命大戦第1シングルスで対戦経歴がある選手だ。リーグ戦では1ゲームを先取するも、加速した相手の猛攻に耐えきれず敗北を喫す。「あの時から、ネット前のスピードが速い選手だった」(山本)。前回の反省を活かし雪辱を果たすため、臨んだ試合だった。
第1ゲームは危惧していたネット際の繊細なプレーに、自身のペースを崩されこのゲームを献上。第2ゲームは山本が魅せた。積極的に仕掛け、文字通り流れを引き寄せる。仲間の応援が会場に響く中、連続得点を奪いなんとかこのゲームを奪取。命運を分ける第3ゲーム。開始から、連続で鋭いスマッシュを放つ。一時優勢かと思われたが笹井(立命大)もこのまま黙っていなかった。1点を奪い合う、シーソーゲームが展開。そして卓越した技術を用い、均衡を破ったのは山本だった。サービスエースを奪うと威力の増した攻撃で、反撃の隙を与えない。一挙8得点を奪い戦況を支配する。勢いそのままストレートのコースへシャトルを埋め込み、この試合に終止符を打った。

ベスト4に名を連ねるべく準々決勝に出場した。相手には、今年6月に行われた関西選手権で山本のベスト4の道を阻んだ衣川(立命大)。奇しくも同じナンバーをかけた試合が開始された。「スマッシュやショットをしっかり拾う選手なので、次の攻撃を常に意識しながら対戦した」(山本)。意地がぶつかり合う熱戦の中、多彩な攻撃を披露。互いに点を積み重ね、第1ゲームからデュースに持ち込む。
ここからが山本の真骨頂だった。どちらに軍配が上がるのか、予想だにしない試合を展開する。相手の意表を突く類いまれなプレーで衣川(立命大)を翻弄(ほんろう)。しかしあと1点の場面で山本のシャトルがネットに捕まる。互角の激闘に、場内の声援は最高潮へ。デュース1点目を何度も獲得するが、相手の猛追を受け追いつかれる。しかしここで山本が1点を追いかける展開に。このチャンスを衣川(立命大)は見逃さない。コート右前に刺さる決定打を放たれこのゲームを獲得できなかった。「1セット目を取りきれなかったのが、2ゲーム目の劣勢に繋がった」(山本)。力闘するが2ゲーム目もものにできない。部員全員の想いを背に、山本の挑戦が終了した。

西日本の舞台でもう一度、ベスト4に返り咲くことはできなかった。「前回(関西選手権)よりは追い込めたので、成長を実感できた」(山本)と振り返り、自身の向上に期待感を示す。昨年度の西日本インカレを3位で終え、期待のルーキーとして衝撃を与えた山本。さまざまな大会経験を経て、今エースとしての歩みを進める。次に控えるのは秋季リーグ戦。「やれる最大限を出し切って、それで負けるなら仕方ない」(山本)と意気込みは十分だ。これまで磨き上げた技、心そのすべてを発揮せよ。(青山由菜)

【試合結果】
〈シングルス7回戦〉
山本(政策2) ☆2(21-15、15-21、21-9)0立命大
〈シングルス準々決勝〉
山本(政策2) ★0(27-29、12-21)2立命大