9月3日にMK TAXI FIELD EXPOで関西学生アメリカンフットボールDiv1 対関大戦が行われた。昨年3位の強豪に対し、序盤は健闘を見せるも2-41で大敗。初戦を白星で飾ることはできなかった。
「我々としてはここに向けて頑張ってきたので、思いっきりやろうと送り出した」(橋詰HC)。ターゲットにしてきたリーグ初戦は、序盤から一進一退の攻防を繰り広げた。開始早々から、#12石田(商4)のパスと#28戸島(スポ3)のランを軸に攻め込むが、関大の堅い守備に阻まれる。一方、ディフェンスでは、#93重松(社4)を中心に粘り強いタックルで相手の攻撃を断ち切った。そのような状況で最初に好機をつくったのは同志社だった。第1Q残り2:41、#12石田がDFの間を通す鋭いパスを投じ、それに反応した#88平船(商3)がファーストダウンを獲得する。残り1:11からの攻撃でもこの2人のホットラインが機能し、一気に敵陣へ侵入。流れを渡すことなく第1Qを終えた。
「ええ感じやぞ!、どんどん行くぞ!」(橋詰HC)。その言葉通り、最初にスコアボードに数字を刻んだのは同志社だった。第2Q残り10:37、相手陣5yd付近に迫ると、関大のキッカーがエンドラインでボールをファンブル。セーフティにより、2点を先制する。
しかし、関大も黙ってはいなかった。相手陣25ydからの攻撃でDLの間を突破され、75ydの独走のTDを許す。中盤にも、フォースダウンから関大が用意していたスペシャルプレーを成功させ、自陣深くへ侵入される。第2Q残り4:00、ドロープレーからこの日2本目のTDを献上。一度自分たちに傾きかけていた流れを一気に変えられ、その後は苦しい時間が続いた。
悪い流れは断ち切れない。前半残り56秒、主将・強力が相手選手へパーソナルファールを犯してしまう。故意ではなかったが、ターゲティングが確認され、退場処分となった。その直後には、再びTDを許しリードを広げられた。それでも、「確かに主将は大きな存在ですけど、主将や主力選手がいなければ止まってしまうチームづくりはしていない」と橋詰HC。ハーフタイムには、副将の2人がハドルの中で熱い言葉をかけ、チームを引き締めた。
なんとしても追いつきたい後半戦。#24片井(政策4)が陣頭に立ち、要所で力強いタックルを決める。だが、攻撃陣はボールを獲得してもなかなかファーストダウンを獲得できない。ほとんどの攻撃を4回で終え、終始関大ペースの試合展開は変わらなかった。「準備できていたものがあまり発揮できなかった」(強力)。強度の高いフィジカルやプレッシャーを前に思うようなプレーができず、立て続けにTDを許してしまう。強豪との力の差を見せつけられる結果となった。
強力は試合後、「一回流れを持っていかれたときに、その流れを取り返すことができなかった」と冷静に振り返った。1つ1つのプレーの精度や重要な場面での集中力など、課題は多い。 それでも、「春は強豪と呼ばれるチームと試合していなかったので、自分たちが今どの立ち位置にいるのか身に染みたと思う」(強力)。春シーズンは対戦がなかったリーグ上位校と初戦で試合をできたことは大きな収穫だ。また、攻撃陣は苦戦を強いられた一方で、最後までスローガンである「Go through」を体現したディフェンス陣の成長も確かな好材料だと言える。
「1つ1つの当たりに強くなる。人に強くなる。気持ち的にも身体的にもまだまだ必要かなと思います」(橋詰HC)。観客席から拍手で後押しする保護者やOB・OGに勝利を届けるために。新たな歴史をつくるために。新星ワイルドローバーの挑戦はまだ始まったばかりだ。
(文責・勝部健人、撮影・福田倫多朗、藤田桃江)