6月18・19日、つま恋リゾート彩の郷 第一多目的広場(静岡県)で第61回全日本学生アーチェリー男子王座決定戦Supported by KOWAが行われた。
全部員がこの日を待ちわびていた。リーグ戦と昨年の雪辱が懸かった今大会。全国の強豪選手が集結し、チームとしての力が試される。出場メンバーは、高井(スポ1)、鷲津(商1)、川嶋(スポ2)、高久(商3)の4人。「やれる準備というのは全部やってきた」(高久)。若手メンバーにより構成されたこともあり経験値を埋めるべく、掛け声から個人としての技術まで、100%の状態を目指して大舞台に臨んだ。
1日目の予選ラウンドでは1人72射を打ち、チーム上位3名の合計でランキング付けをしていく。長時間の大雨に耐えながら、着々と競技を進めるメンバー。リーグ戦から活躍を見せる高井は1年生ながら30金を4度出し、チーム内トップの予選10位で通過した。他メンバーも明日のメンバーに選ばれるべくチームのため、自分のために一本一本集中する。結果、高久が16位、川嶋が19位、鷲津が25位で終了。団体としては近大、日体大の後を追う形で3total 1876の予選3位。最も理想的な形で1日目を終えた。
そして迎えた運命の決勝ラウンド。ここからはトーナメント形式に移り、最大4マッチのマッチ制に切り替わる。「同志社は全体的に強い相手に下されがちという傾向があるので、監督には下克上と思ってやるだけやれと言われた」(川嶋)。勝ち進むに連れ、相手の格が上がるトーナメントだからこそ、常にチャレンジャー精神で勝負を仕掛けることを決意した。
雨雲がなくなり蒸し暑さが続く中、試合は開始した。応援メンバーも自作の応援ボードを掲げ、チームを鼓舞。予選をともに戦った鷲津もサポートに回り、全員の手で王座というステージを作り上げた。
1/8イリミネーションでは予選14位の愛知工業大学に6-0とストレート勝ちを収め、順調な滑り出しとなった。続く1/4イリミネーションでは周南公立大と対戦。3マッチ目には相手が56点の高得点を出しマッチを落とすも、焦ることなく反撃を阻止。4マッチ目を54-53で勝ち切り、6-2でセミファイナルまで持ち込んだ。
セミファイナルの相手は予選2位の強者、日体大。勝ち進むためには55点以上が必要となるほど、ハイレベルな戦いが強いられた。しかし、1マッチ目、2マッチ目では健闘するも54点、53点。高得点を出すが日体大の絶対的な強さに太刀打ちできず、0-6で敗北を喫した。
気持ちを切り替え挑んだブロンズメダルマッチ。イリミネーション、セミファイナルとは異なり、全選手の視線が集まる中行われた。また、チーム交互打ちに切り替わり、相手の点数を意識せざるを得ない状況。表彰台を目の前に、プレッシャーという壁が立ちはだかった。
相手は予選5位の愛知産業大。これまでの力を存分に発揮すれば3位をつかめるという場面、これまで高得点でチームを支えていた高井もプレッシャーからか7点を連発する。「常に(良いパフォーマンスを)出していけるようにメンタルとか、課題が見えました」(高井)。10点を決めてくる愛知産業大に流れをつかまれ、1マッチ目から50点を切る滑り出しに。その後も50点、50点と修正することができず、0-6で完敗を喫した。
「相手が勝ったというより僕らが負けちゃったっていう点数の出方だった」(川嶋)。勝てる相手だったがゆえに、メンタル面での弱さが露呈。状況や相手に限らずいつも通りのプレーをするためには、経験と自信を積んでいくしかない。若手がそろったからこそ来年、再来年に向けてリベンジを強く誓った。
今試合をもって4年生は引退。バトンは塚田(スポ4)から高久へと渡された。「僕たちができなかった王座でのアベック優勝によりもっと近づけていける代だと思っている。期待の持てる人たちばかりなので、みんなで戦うという意志を曲げずに。同志社のいいところを伸ばしながら一人一人アーチェリーに貪欲でありつつ、人間としてもっともっと大きくなって目標を達成していってほしい」(塚田)。王座で再確認できた絆を振り返るとともに、後輩たちに夢の続きを託した。『全員でチームを強くする』という伝統のプレーを引き継ぎ、これからも成長し続けるアーチェリー部。日本一のチームを目指して走り続ける彼らに期待が高まる。(濱田夏実)