12月4日、同志社大学デイヴィス記念館(京都府)で第37回全日本学生居合道大会が行われた。個人戦では加藤(GR4)が優勝、団体戦では3位入賞と、今年も同志社の強さを見せつけた。
新型コロナウイルスの影響で、3年ぶりの開催となった全日本個人戦。同志社からは加藤、黒澤(スポ4)、野村(理工3)、多那瀬(文3)が出場した。皆が優勝だけを目指し、全国の頂への執念を燃やし練習に励んできた。
トーナメントでは早くも2回戦で、野村と加藤の同門対決が繰り広げられた。前回の西日本大会では3-0で野村が勝利し、加藤は敗北。全日本での勝利を誓い、これまで精神面、技術面ともに磨いてきた。技の完成度と深みに重点を置き、見せる演技で審判への好印象を与え続ける。「あとは4回生の意地で、私の演武の『深み」の部分で勝ちに行こうと意識した」(加藤)。判定の結果は、赤2、白1とわずかな差で加藤が勝利。前回大会のリベンジを果たした。対して野村は、「反省点は何より自分の完成度を仕上げきることができなかったこと。仕上げ切って臨んだ加藤先輩との差が出てしまった」(野村)と振り返る。シードで1発目の試合が加藤との試合だったこともあり、悔しくもここで敗退。加藤に望みを託した。
続く準決勝戦、京大擁する藤川との戦い。ともに関西で戦うよく知った相手であったため、これまで通り冷静さを意識して挑んだ。3-0で白星を飾ると運命の決勝戦へ。決勝は東で圧倒的な力を誇る佐々木(明大)が待ち構えていた。段位が2段も上の相手に緊張感を抱きつつ運命の勝負に挑む。「お互い積み上げてきたもののぶつかり合いになると思っていたので、おごらず真摯に与えられたチャンスをつかみに行った」(加藤)。これまでの自分の努力と得た技術力に自信を持って演武。大きなミスなく試合を終える。いよいよ、審判の判定が下される瞬間。上がった旗は白2、赤1と加藤が優勢で、見事全国の頂をつかみ取った。「優勝が決まった時は驚きすぎで感情が追いつかないような状態だった。ただここで緊張の糸が切れてしまうと団体で十分に戦えないような不安がよぎってすぐに平常心に戻った」(加藤)。残りの団体戦に向け、喜びも束の間、気持ちを引き締め直した。
昨年王者として今年も頂だけを見据えて臨んだ団体戦。同志社は圧勝を収め、準決勝まで駒を進める。西日本からの6週間、強化練習を経てメンバーに100%信頼を置けるようになった。迎えた強豪・京大との決勝戦。ここで勝てば大きく優勝へと近づく局面に、緊張感が走る。しかし、全国の大舞台に練習ではしていなかったミスが目立ち、中堅の野村を迎える前に0-2と負けたら終わりの状況に。「自分がここで勝ちを取れば、後ろのメンバーが勝ちを持ってきてくれると信じて一点集中して挑んだ」(野村)。主将として圧倒的な強さを見せると、まずは1勝。次の多那瀬につないだ。しかし、副将戦はわずかな差で競り負け、京大の勝利が決定。全員で勝利をつかむべく3位決定戦へ気持ちを切り替えた。
3位決定戦の相手は龍谷大。先鋒の白井がストレート勝ちを収めると、そのまま勢いに乗り3本を先制。団体戦3位に食い込んだ。「王者としての同志社」を体現することはできなかったが、それでも、おのおのの強さを発揮。「来年以降も同志社が王者を名乗り続けられるだけの戦力を有していると再確認できる大会だったと思う」(黒澤)。4回生は今試合を持って引退となる。「頼もしすぎる後輩に支えてもらったし、彼らとともに戦えたことを誇りに思う。望むような結果ではなかったが諸々込みで今後の糧にしたい」(安蒜)。悔しさをにじませつつも、晴れやかな気持ちで4年間の居合道部生活を振り返った。
数カ月後には運営権が第62代に移り、野村組も間もなく閉幕。今後は後輩の指導に加え、自身が勝利を収めることで部としての強さに貢献していく。「部の目標として全員入賞、全日本団体優勝とあるように次年度は名実ともに日本一の道場になるよう研鑽を続ける」(野村)。今大会は結果はもちろん課題も含め、大きな実りある大会となった。この結果を無駄にはせず、今後の糧として全員が日本一への意識を高め、心身ともに稽古に励んでいく。【文責:伊藤千遥、写真:小野理沙】