
REGAVIL CUP 2025 関西大学バレーボール連盟 男子1部 春季リーグ戦
5月10日、立命館大学OICアリーナ(大阪府)でREGAVIL CUP 2025 関西大学バレーボール連盟 男子1部 春季リーグ戦の第8戦が行われ、同志社は天理大相手に3-1で勝利を収めた。
今回の相手は今季リーグ無敗で駒を進め、暫定1位に躍り出た天理大。同志社はここ数年、天理大相手に白星を挙げることが出来ず、苦戦の続く戦績であった。「今日のために全員でしっかり準備を行った」(森川・商4)。主力の伊藤(心理3)が怪我で不在の中、絶対王者の牙城を崩すべく熱い闘志を胸に決戦の舞台へと歩みを進めた。

迎えた第1セット。先にブレイクを許すも、大西がクイック攻撃でポイントを奪取する(6-6)。10-8の場面で中田(心理2)のブロックポイントがさく裂すると、一気に流れを同志社に引き寄せた。﨑山(商2)のスパイクが決まると、続く池田の1枚ブロックで天理大の攻撃を封印。圧巻の同志社劇場を披露し、怒涛(どとう)の勢いでリードを広げた(14-10)。「序盤からしっかり攻めることを意識していた」(﨑山)。その後も﨑山の鋭いサーブで相手の守備網を切り崩し、大西(経1)や池田が確実に1点を獲得する完璧な展開バレーを披露(18-13)。試合中盤、相手も主導権を奪いにかかるも金谷(心理4)の力強い声掛けで士気が一段と高まった。20点台に乗ってもなお、一切の隙を見せなかった同志社。脇本(スポ1)のジャンプサーブから得点を量産すると、最後は池田が決定打を放ち25-20で第1セットを先取した。

続く第2セット、先に流れをつかんだのは同志社だった。立ち上がりで3連続ブレイクに成功すると、金谷が天理大の攻撃をシャットアウト(7-5)。「(伊藤)湧希空の代わりに絶対に決めようと思った」(森川)。戦線離脱を余儀なくされた伊藤の想いを背負った森川がブロックポイントを獲得する(9-7)。セット折り返しの局面でも個々のハードワークが光り、畳み掛ける展開で主導権を掌握。同志社の得点板が大きく動いた(17-14)。しかし、今季無敗という圧倒的な強さを誇る天理大は一筋縄ではいかない。チームの武器である粘り強さで長いラリーを制すと、続けてサービスエースを奪取。粘り強いレシーブと相手の連続得点に屈し、試合は振り出しに戻った(18-18)。ここで流れを死守したい同志社は仲佐(スポ3)、脇本を起用。すると部内屈指のビックサーバー脇本が好機を演出する。長い手足から繰り出される強打のサーブで相手の攻撃を封印。大西が持ち前の得点力で相手守備の綻びを突き、再度ブレイクに成功する(22-20)。完全に同志社優勢の空気で迎えた終盤戦、突如流れに翳(くも)りが見え始めた。22-21の場面で判定を巡る協議が行われ、試合が一時中断。選手たちは不安げな面持ちで判定を見守っていた。結果は相手ポイントとなりスコアはタイに。ジャッジが揺らいだ一瞬の隙を突かれ、痛恨のセットを落とした(23-25)。

「第3セットいかに切り替えてやっていけるか」(﨑山)。前セットの屈辱を晴らすべく、気持ちを切り替え挑んだ第3セット。開始早々、森川が1枚ブロックで先制点を奪いチームを勢いづけた。しかしここで天理大の猛攻を受ける。エース花村(天理大)のハイブリッドサーブがさく裂。「(花村)一人にサーブで押されていた」(﨑山)。幾度となく連続得点を許し、試合は一気に天理大のペースに(12-15)。勝負の行方を左右する正念場で、池田が鋭い得点への嗅覚を働かせる。爆発的な得点力を披露し、執念のプレーで堂々の同点劇を繰り広げた(20-20)。ここから両者一歩も譲らない激闘の攻防戦が展開。息詰まる接戦の中、試合を揺るがすアクシデントが発生する。司令塔・金谷が怪我でコートを去る波乱の展開に。「自分のやるべきことをやるだけだった」(小田・スポ2)。急遽代役として投入された小田がコートに入ると、緊迫した選手の表情がパッと明るくなった。「(小田)歩やったら大丈夫って思って安心してプレーできた」(﨑山)。コートイン直後から大西とのコンビネーションが冴え渡り、コートを制圧(24-24)。森川が相手の攻撃を封じ込めると、何度もセットポイントを凌ぎ合う極限のデュース戦に突入する(27-26)。30点台の大判に乗ると会場の盛り上がりは最高潮に到達。スコアが動くごとに観客は一斉に歓声を上げ、次の展開を固唾を呑んで待ち続けた。「正直怖かったけど、弱い気持ちの人が一人でもコートにいたら負ける」(小田)。1プレー1プレーに全身を振るわせる死闘が繰り広げられた第3セット終盤。最後は森川が主将として意地の2連続ポイントを奪取しゲームを制すると、森川のもとに全員が駆け寄り喜びを爆発させた(34-32)。

完全に主導権を握った第4セットは序盤から池田、中田のスパイクポイントが光る(10-8)。一時は同点に追いつかれるも、タイムアウト後に大西のクイック攻撃がコートに突き刺さりブレイクポイントを獲得(20-19)。勢いそのまま﨑山と大西の鉄壁ブロックで相手の攻撃を封じ込み、池田が圧巻のスパイクで得点を決めた。24-21でついに同志社のマッチポイントを迎える。下剋上を果たす勝利の瞬間まで“あと一球”。誰一人として瞬きすら許されない緊張の中、全員が祈るように運命の瞬間を見届けた。最後は中田が勝利の決定打を叩き込み、25-23で第4セットを連取。セットカウント3-1で天理大相手に大金星を挙げた。

「素直に勝てて本当にうれしい」と今試合大活躍を収めた小田の表情は、安堵と喜びで満ち溢れていた。長年敗北を味わってきたこの一戦で、今季初天理大から白星を奪った同志社。「全員で勝ちに行く意識がこの試合でさらに強くなった」(森川)。劇的勝利を手にした選手たちの中には、確かな自信と手ごたえが宿る。開幕3連敗を喫し、屈辱の最下位争いから始まった今季リーグ戦。今回の勝利を経て同志社は6位に浮上し、ついに上位争いに食い込んだ。次節の甲南大戦に向けて小田は「自分たちの空気を作ってストレートで勝ちに行く」と闘志を燃やしている。今回の勝利を起爆剤に、連勝街道を駆け抜けろ。(文責・撮影、三宅希和)