第50回全日本大学ローイング選手権大会/第63回オックスフォード盾レガッタ
9月6〜10日にかけて、第50回全日本大学ローイング選手権大会/第63回オックスフォード盾レガッタが戸田ボートコース(埼玉県)で行われた。学生日本一を決める通称インカレには、男子舵手なしフォア(以下、男子フォア)、男子舵手付きフォア、男子ダブルスカル、男子舵手なしペア、男子シングルスカル、女子舵手なしクォドルプル(以下、女子クォドルプル)、女子ダブルスカル、女子シングルスカルでそれぞれ1艇ずつ出場。また、同時に開催されたオックスフォード盾レガッタには男子エイトが2艇出場した。男子フォア、女子ダブルスカル、女子クォドルプルの3艇は最終日まで進み、それぞれ3位、4位、8位と3種目で入賞。男子フォアは悲願の日本一こそならなかったが、昨年の男子エイト準優勝に続き、2年連続のメダル獲得となった。
女子クォドルプルのS:落合(GR3)3: 児嶋(スポ2)2:金谷(スポ1)B:酒井(文情1)は初日に行われた予選C組を07:30.00のタイムで1着通過。目標のA決勝進出を懸けて3日目にの準決勝に臨んだ。3着以内に入ることができればA決勝進出が決まるレース。予選で阪大、関学大との関西勢対決を制した勢いそのままにいきたいところだったが、スタートから遅れを取る。仙台大、中大が大きくリードを広げる中、3位争いは敗者復活戦を勝ち抜きてきた阪大と競う展開になった。中盤1,000㍍地点までは2秒差の4位で追走する。懸命に食らいついたが、後半にかけて徐々にその差を広げられた。最終的に約9秒差をつけられ4着でフィニッシュ。A決勝進出とはならず、B決勝に進んだ。
「他のクルーが後半型だと思ったので、前半飛ばして出ようと思ってこいだ」(落合)。プラン通りにスタートから飛び出すも、わずかな差で金沢大に先行を許す。すると、1,500㍍地点付近で後方から東北大が追い上げを見せる。「いつもよりもラストスパートを上げた」(落合)と最後まで粘り強いこぎで逆転は許さなかったが結果は2着。総合8位で入賞を果たすも、来年のメダル獲得を誓った。
女子ダブルスカルの清水(社3)・東野(スポ1)ペアは5月に行われた全日本ローイング選手権大会、軽量級で準優勝。全日本インカレでも確実に表彰台を狙ったが、わずかに届かなかった。
予選は大舞台の緊張からか集中力を欠いた。「6〜7割しか力を出せなかった」(東野)と後半から失速し2着。敗者復活戦ではその反省を生かし、レートを落とすことなくこぎ切ると後続に大差をつけて準決勝進出を決めた。
メダル獲得へ負けられない絶対に負けられないセミファイナルは実力が拮抗(きっこう)する強敵が並んだ。「1,000㍍から後半にかけてどんどん上がっていくようなプラン」(清水)とレースの展開を冷静に読んだ。全艇譲らぬ互角の戦いは序盤から1,500㍍地点までほぼ横並びの平行線をたどる。最後まで気を抜けない試合となったが2人は粘り強かった。最後の500㍍で2着をキープし、そのままゴール。「タイムは全然気にしていなかった」としながらも、目標に設定していた7:40をクリアする07:34.94を出し、最終日のA決勝に弾みをつけた。
迎えたメダルレースは厳しい戦いを強いられた。最初の500㍍こそいいスタートを切ったが、「後半に上げるのを意識しすぎた」(東野)とペースをあげ切れない。勝負の後半にかけて他大学がペースアップする中、ついていくことができなかった。前をいく船と差をつけられる形で4着でゴールし、表彰台を逃した。「自分たちの全力は100%出せた感じがしたので、次に進むために大事な4位なのかなと思う。もっと何か今の自分を一気に変えないといけない」(清水)。今後は主務と漕手の二足のわらじを履く清水だが、今大会の悔しさを力に変え、来年こそは笑顔で花道を飾りたい。
男子フォアはS:福條(商4)3:林(社4)2:中村柾(文情4)B:安陵(商3)と実力者をそろえ、日本一を目指した。
予選は早大に敗れ2着となるも、敗者復活戦を確実に突破し準決勝へ駒を進める。3位までA決勝に進出できるということから「まず3位を取るのは確実に」(福條)と落ち着いてレースを展開した。序盤500㍍地点でスタートで出た日大、立大を追わず、4位の京大へ意識をシフトチェンジ。全員で意識を統一し、こぎも終始安定していた。「レースを重ねてしっかり成長できている」(福條)。3位を守り切り、日本一へ確かな手応えをもって最終日につなげた。
晴天に恵まれ、正真正銘のラストレースは幕を開けた。「ストロークが横一線にいて、1位を争っている感覚がすごく気持ちよくて楽しかった」(福條)。500㍍、1,000㍍とこぎを進めるが、差はほとんど開かない。互いに意地と意地がぶつかり合い、白熱した試合が最後まで繰り広げられた。1,500㍍地点通過時にはわずかに抜け出しトップに躍り出たが、すぐさま抜き返されるつば競り合い。仲間の大声援を一身に浴びながら2,000㍍をこぎ終えた瞬間、4人はうつむき、天を仰いだ。結果は首位と1.3秒差の3着。表彰台のてっぺんにはあと一歩及ばなかったが、最高の舞台で最高の仲間と最高のレースを見せた。
「今までで1番楽しいレースでした」(福條)。7年間打ち込んだボート競技に悔いはない。悲願の日本一は後輩に託し、すがすがしい表情で銅メダルを首にかけた。(丸山潤一郎)
(取材全文)
(主将)福條
ーー全国3位、今の気持ちは?
めちゃくちゃすがすがしいというか、やりきったという感じの気持ちです。
ーー最後のレース振り返って
プランでは前半で出て、そのまま逃げ切るようなレース展開にしたかったんですけど、思ったより周りも決勝っていうのもあってスタートから飛ばしてきて出きれず、最後まで横一線のレースだったんですけど、最後は実力の差なのか、勝ちきれなかった感じですね。
ーーレース中に感じたこと
横見たら1番前に乗っているストロークが自分含めて立教大学さんと早稲田大学さんが横一線にいて、もうすごくしんどかったんですけど、やっぱり優勝争いってすごく楽しくて、自分が今1位争ってるっていうのが、その感覚が気持ちよくて、今までで1番楽しいレースでしたね。
ーー主将として過ごした1年間を振り返って
苦しいこともいっぱいあったんですけど、それでも自分がこのボート部の一人一人の部員がすごく大好きで、みんなのためにやるってなると頑張れる自分もいたので、思い返してみると苦しい思いでよりは楽しかったとか、やって良かったなっていう思い出の方がよみがえってくる1年間だったかなと思います。
ーー1番思い出深いことは
自分たちが最高学年になって4回生が10人しかいない異例の少なさの学年なんですけど、最高学年になってからまとまりが出始めたというか、みんなで頑張ろう、自分たちの代で引っ張ってやろうというような思いが出て、今回インカレで(舵手)なしフォアに乗ってたのは4回生3人だけなんですけど、それでもやっぱりみんなの力で、みんなで頑張ってきて、その代表として勝てたのかなと思うんで、この1年を通してすごく楽しい瞬間だったなと思います。
ーー今回舵手なしフォアに一緒に乗った3人へかけたい言葉
去年悔しい思いしてから、次主力になるメンバーっていうのが大体分かっていたので、そこで絶対自分たちがこのチームを引っ張るんだぞって(昨年の)インカレが終わった直後から決めていたので、最後こうやって4人で実現することができて、本当に練習も誰よりも頑張ったつもりではいますし、ちょっと揉めるようなことも悩むこともあったんですけど、4人で励まし合って楽しく仲良くやれてよかったなという風に思っているので、自分が引っ張る立場ではあったんですけど、4人で一緒の船をつくれて楽しかったなと思います。
ーー7年間のボート生活を振り返って
高校の頃は不甲斐ない結果しか出せてなくて、もう1回大学で始めるにあたって、もう1回頑張ろうと思って始めたので、それで去年(男子エイト)準優勝、今年3位とメダルを2つ取ることができて、高校の頃からは考えられないくらいボートおいては成長できたなと思うので、後半にかけてちゃんと自分がレベれアップできるようないい7年間で、ボートを通してたくさんの人に関われたことが何より良かったかなと思います。
ーーボートを通して学んだこと
ボートってまだ追求できるものやと思ってて、ボートって正直正解がなくて、どうすれば速くこげるかも分からないし、誰と乗ってどうやったら速くなるかも分からない中で、試行錯誤しながら自分のこぎやクルーのこぎを追求して考えた毎日、日本一という1番高いところを目指して努力し続けるっていうのは本当によかったなと思います。
ーーボート部での合宿所生活も終わる
まだ実感はないですけど、本当にボート部の合宿所のいいところってどこの場所に行っても誰かがいて、その人が笑ってるっていうていうのがすごくいいところやと思ってたので、これから寮生活が終わって、1人で生活するってなると多分めちゃくちゃ寂しいんだろうなと思うんですけど、今後もこのボート部にずっと関わっていけたらなと思います。
ーー後輩たちへ
日本一を目指してる瞬間っていうのが1番楽しくて、日本一を目指して努力してる瞬間っていうのが1番成長できて頑張れて、1番思い出になる瞬間だと思うので、口うるさく日本一というものを目指し続けて、しつこくひとときも妥協せずにやっていって、最後この瞬間に決して3位でも2位でもなく日本一を取ってほしいと思います。
(主務)宮本(法4)
ーー最後のインカレを振り返って
インカレ期間中に体調不良者とかも出て、今まで通りの遠征ではなかったですけど、みんなが今までやってきた4年間ないしは1年間のベストが出せるようにこちらはサポートをするという感じなんですが、結果的にはみんなが悔いなく終われてよかったと思います。
ーー最後の決勝のレースはどのように見ていたか
私も艇担当といって、今回の(舵手)なしフォアの専属のトレーナーをしてたので、今までの頑張りも私が1番近くで見ていたので、本当に吐きそうだったんですけど、みんなが悔いのないこぎができて2,000㍍完走できたので私は本望です。
ーー主務として過ごした1年間を振り返って
自分の未熟さが露見した1年間だったんですけど、私は人に恵まれていて、同期をはじめ、いろいろな後輩だったり、先輩、OBOG、監督のみなさんにたくさん支えてもらえてなんとかできたかなという感じではあります。この1年間で自分が知らなかったようなボート部のたくさんの方から支えていただけていることを身をもって感じられたし、それを自分が恩返しという形で来年以降貢献したいなと思います。
ーーボート部での4年間を振り返って
私が入部したときがコロナの時期だったというのもあって、どうなるか分からないというのが1年生のときの感想なんですけども、本当に他の部員も言うように、ボート部の人の良さっていうのが生活からにじみ出ていて、合宿所生活という側から見たら非日常な生活を365日行っていますけど、あそこで築いた絆がこうしてレースに結果で出たりしているのを感じて、本当に充実していて、1番人生の中で濃かった4年間でした。トレーナーとして近くで支えることができて本当に楽しかったです。
ーー次期主務は漕手の清水さんですが、彼女にかけたい言葉
彼女は漕手ってこともあってイレギュラーな主務になると思うんですけど、性格が真面目だしきっちりっしてるし、責任感が強すぎるのが逆に心配ではあるんですが、ボートをラスト1年間楽しんで悔いのないようなレースをしてほしいと遠くから願っております。
(その他戦績)
・全日本大学ローイング選手権大会
男子舵手付きフォア C決勝 5着 総合15位
男子ダブルスカル E決勝 3着 総合23位
男子舵手なしペア 敗者復活戦敗退
男子シングルスカル 中塚(商2) 敗者復活戦敗退
女子シングルスカル 瀬戸口(商1) E決勝 1着 総合21
・オックスフォード盾レガッタ
男子エイトA 敗者復活戦敗退
男子エイトB 敗者復活戦敗退