
7月17日、卯辰山相撲場(石川県)において全日本大学選抜相撲金沢大会が行われた。団体戦は予選敗退となったが、個人戦でデミデジャムツ(神4)が大学初優勝を果たした。
団体戦メンバーは先鋒山口、二陣ムンフイデレ、中堅田中、副将川畠、大将デミデジャムツ。同志社は1回戦に日体大、2回戦に近畿大、3回戦に法政大と対戦した。主将山口の負傷というアクシデントも降りかかり、結果が奮わない。1勝6点で同率8位となり、中央大との同点決勝に挑むも敗北。決勝トーナメント進出を果たすことはできなかった。身体に不調を抱えながら参戦している選手が多く、なかなか決勝戦に進めないのが現状だ。人数が少ない同志社にとっては特に、負傷は大きな痛手となる。チーム全員が万全の状態で出場する時が待たれる。
続いて行われた個人トーナメント戦。「必ず入賞しよう」。その一心で迫りくる敵に挑み続け、計6戦を制して勝ち上がったデミデジャムツ。決勝戦の舞台へと進み、土俵上で金沢学院大の池田選手と向き合っていた。

学生相撲界において関東の壁は高い。今大会でも、日体大、日大を筆頭に数多くの有力選手がエントリーしていた。しかし、関東の強敵たちを前にしても不安はなかったという。「自分の相撲が取れれば勝てる」。これまでに積み上げてきた努力を信じて土俵に上った。
立ち合いで池田の強い当たりをもろに受け、後退するデミデジャムツ。2度の突っ張りによって一気に土俵際に攻め込まれ、ピンチを迎える。しかし、その先の動きが神がかっていた。上体をのけぞらせるが土俵は割らずに耐え抜く。逃れるように左へ回り込み、左上手をつかむと大逆転の投げを打った。



沸き上がる歓声。デミデジャムツは顔をあげると、小さくガッツポーズを見せた。普段はあまり感情を露わにしない彼が見せたその姿が、言い知れぬ喜びのすべてを物語っていた。わずか4秒の取り組み。瞬間的、かつ劇的な勝利によってつかんだ初優勝だった。
「やっと優勝できた」。試合後のインタビューでは、喜びとともに安堵の様子を見せた。これまでも西日本3位など数々の好成績を残してきたデミデジャムツ。しかし決して慢心せず、「もっと上を目指せた」とストイックに自己を評価してきた。常に頂点だけを目指し続けてきたからこそ、4年目にして果たした初優勝は大きな意味を持つ。強い信念がもたらしたこの結果は、見る者の胸をうった。


同志社のエースとしてチームを牽引し続けてきたデミデジャムツ。ラストイヤー後半に差し掛かった今、最も輝かしい栄冠に輝いた。同志社の選手の優勝は、実に28年ぶり。1994年に行われた第43回全国大学選抜相撲高知大会、田中英一以来の快挙だ。チームメイトたちと「本当に良かった」と喜びを分かち合った。引退まで残り約4か月。最前線で活躍し続ける彼の勇姿を最後まで見届けたい。(撮影・文責 城山歩美)
【相撲部】
団体戦メンバー
先鋒 山口(法4)
二陣 ムンフィデレ(社3)
中堅 田中(社4)
副将 川畠(社4)
大将 デミデジャムツ(神4)
〈団体予選〉
1回戦 対日体大 2-0
●山口(押し出し)中山
○ムンフイデレ(小手投げ)石崎
●田中(突き出し)ムンクジャルガル
●川畠(寄り切り)ブフチョローン
○デミデジャムツ(上手投げ)花田
2回戦 対近大 0-5
●山口(寄り切り)山崎
●ムンフイデレ(寄り倒し)久國
●田中(押し出し)三田
●川畠(寄り倒し)浦山
●デミデジャムツ(寄り切り)本庄
3回戦 対法政大 0-5
●山口(突き落とし)佐藤
○ムンフイデレ(叩き込み)松浦
○田中(寄り倒し)橋本
○川畠(叩き込み)上山
○デミデジャムツ(寄り倒し)田崎
(同点決勝戦)
対中央大 0-3×
●真辺(寄り切り)野地
●ムンフイデレ(送り出し)平野
●田中(押し出し)土井
〈個人トーナメント戦〉
1回戦
○デミデジャムツ(寄り切り)八木
●真辺(叩き込み)落合
●ムンフイデレ(押し出し)深見
●山口(棄権)堺井
●南(下手投げ)松浦
●田中(押し出し)白神
●川畠(寄り切り)神谷
2回戦
○デミデジャムツ(下手投げ)久國
3回戦
○デミデジャムツ(上手投げ)土居
4回戦
○デミデジャムツ(上手出し投げ)宮崎
準々決勝
○デミデジャムツ(上手投げ)春山
準決勝
○デミデジャムツ(上手投げ)花岡
決勝
○デミデジャムツ(上手投げ)池田